今迄に、方丈記、徒然草、花伝書、道元、芭蕉の俳諧などを読んできたが、中世の歴史の流れの中でその位置づけ、関連等を考えては読んでこなかった。
今回この本を読んで、「数寄」から「すさび」さらに「さび」に至る流れが理解できて面白かった。
以下はamazonからコピペしたコメントです。
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「数奇」から「すさび」を経て「さび」に至って確立する中世文学の「精神のかたち」を極めてシャープな論理で抽出した唐木の代表作である。鴨長明の「数奇」になお残る王朝文学の残滓を払拭し、裸の現実を直視したのが兼行の「無常」即ち「すさび」であるが、世阿弥、道元、芭蕉をつなぐ太い稜線を形作るのは、「型」や「行」あるいは「自然」という自己を越えたものに自己を委ね尽くすことで真に自由な自己に遊ぶ境地であり、それが「さび」だ。「数奇」から「すさび」への道が「色即是空」だとすれば、そこから「さび」に至る道が「空即是色」であることは言うまでもない。東洋哲学の伝統に即しつつ、芸術におけるその極致として能、禅、俳諧に一貫する精神を明解に位置づけた傑作評論である。
〈梅原猛さん死去〉
梅原猛さんが1月12日93歳で亡くなった。私の青春時代から影響を受けた方だった。彼の書いたものは今迄にそこそこ読んできた。印象に残るのは、「美と宗教の発見」「地獄の思想」「水底の歌」「誤解された歎異抄」「法然の哀しみ」「歓喜する円空」「葬られた王朝 古代出雲の謎を解く」「親鸞 四つの謎を解く」などどれも面白かった。
個性的で独特の史観、宗教観が一部の歴史学者や宗教学者からは批判も多々あったようだがユニークな論理展開が興味深かった。
改めてウィキペディアを見ると幅広い活動をされてきたことに驚く。何回かのガンも克服されてきたそうだが、もう少し頑張って本を書いて欲しかった。
ご冥福を祈るばかりだ。合掌!