痴漢行為? 慣性の法則?

 東京までの通勤は京浜東北線の大宮始発で座って行く。冬は着膨
れしているので、男性に囲まれると窮屈なので、片側は細身の女性
の隣を選んで座ることにしている。別に邪心があるわけではない。
 今日は、ちょっと背の高い女性の隣に、しきり棒を間にして座っ
た。すぐに単行本を広げて、4色ボールペンで線を引きながら読み
始めた。すると、隣の女性が妙に、肩、肘を私の方に押し付けてく
る。私の、肩、肘が、女性のほうにはみ出しているわけではない。
ページをめくったり、ボールペンで線を引く微妙な手、腕の動きが
気になるのかもしれないが、気にされるほどの動きではないはずだ。
 途中で先方の明らかな、いやみな腕の動きが気になったので、こ
ちらが腰をずらして引くことはないと、境界を出ない程度に押し返
してやった。しばらく本を読むのやめていたが、眠たくならなかっ
たので、又、本を広げた。すると、電車の発車、停車、ブレーキに
よる慣性の法則の範囲内であると思うのに、前より増して、あから
さまに腕を押し返してくる。
 ちょっとカチンと来たので、「何をでっぱっているんだ。そんな
に気になるなら、立ったらいいだろう。」と言ってやった。どんな
面をしているのかと見ると、何も言わずに、目をつむって知らん顔
をしている。
 東京駅で降りたら、その女性も、後から降りてきた。階段のとこ
ろで、もう一度にらみつけてやろうと振り返った。すると、階段を
下りたところで女性のほうからからまれた。「本を読むのは勝手で
すが、へんによっかかってきて何ですか。名刺ください、公安に話
しに行きましょう!」、開いた口がふさがらない。冗談じゃねー、
こちらが文句を付けたいくらいだ。こんな自意識過剰の女性を相手
にしたら、“変なおじさん”、下手をしたら、軽度の痴漢行為とさ
れてしまうのだろうか。「アホ!」と一蹴して相手にしなかったが、
もっと混んでいる電車内で隣り合わせに立っていたら、それこそ痴
漢にされていたかもしれない。
 
 こころがすさんでいる人が多くなった昨今、これもストレスの表
れの一つなのだろうか。
  
 60年生きてきて、いろんな電車に乗ってきたが、こんなことは
初めてだった。
 
 <教訓>
 「君子危うきに近寄らず」か!
相手を責めるだけでなく、座る前から、いやな中年(変なシニア)
と先入観を持たれたかもしれないという自分を謙虚に反省しなくて
はいけないと思った。