「日本の聖地―日本宗教とは何か」を読む

「日本の聖地―日本宗教とは何か」(講談社学術文庫:久保田展弘)

 歳のせいだろうか、神社仏閣に対する興味が年々強くなってくる。若いときから仏教思想・哲学には興味を持ち続けてきたが、どちらかというと書籍を読むことに関心が行き、神社仏閣に足を運ぶことはそれほど多くなかった。
 
 最近は、古事記日本書紀の世界、神話の世界、昔話の世界、奈良、平安時代関係のなどの本を読む機会が増え、歴史のある日本の聖地に興味がわいてきた。神道関係は「神道のこころ―見えざる神を索め」(中公文庫:佐伯 彰一)と「神道の逆襲」(講談社現代新書:菅野 覚明)、それに梅原猛の本の中で日本人の原始信仰に関するものを読んだくらいだ。
 
 今回、久保田展弘さんの「日本の聖地」を読んで、日本の山岳信仰修験道の奥の深さを教えられた。日本の各地、聖地、すなわち海から山につながる原始自然崇拝、原始信仰がどんなものだったのか少し見えてきたように思う。
 日本人、日本の神仏習合というものが、単に固有の神信仰と仏教との単純な50対50の融合というものではなく、原始自然崇拝と、原始農耕文化、狩猟文化、水神、竜神信仰などが入り交じり、それに道教の影響を受けた修験道密教曼荼羅思想、仏教の観音信仰、阿弥陀信仰などが、日本の風土の中で、重層的に習合して、日本人の宗教、信仰として“大地化”しているのだという。
 
 私は、今まで、もっぱら仏教に偏った読書をしてきましたが、この本を読んで、修験道の世界、日本宗教とは何かと言うことに対しまさに、目から鱗で、新しい視野を開かせてくれました。

 今まで、山にもあまり登っていませんが、改めて、日本の聖地、聖山を訪れてみたい気持ちがわいてきました。関西にいるときにもっと聖地巡りをしておけばよかったと悔やまれる。
 
 皆さんも、休日に日本人のこころのルーツ、聖地を訪れては如何でしょうか。

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「日本の聖地―日本宗教とは何か」(講談社学術文庫:久保田展弘)

熊野・四国霊場・白山・出羽三山
日本の原風景を求め12の信仰の場をゆく
常世信仰の熊野、磨崖仏の国東半島、四国霊場、そして山岳信仰の白山・立山修験道出羽三山。わが国固有の風土と生命観が育んだ信仰の多様な形を追究するため、全国の聖地・霊場をつぶさに踏査。そこに見たものは、原始自然崇拝と渡来宗教が融合した姿と、それを希求した名もなき人々の信心だった。日本の宗教の原初の世界を探る聖地紀行。