1137853254**[机草子]ダブルブッキング

 ダブルブッキングという言葉はアメリカに駐在して初めて知った。CES(Consumer Electronics Show)でラスベガスに行ったとき、現地の会社で予約してあったホテルが相当数のダブルブッキングをしており、当時の会社幹部をはじめ、10数名の宿がない。ホテル側はダブルブッキングは承知の上でやっている。別のホテルに移ってくれとのこと。アメリカというところはずいぶんいい加減なところだと思った。

 アメリカでは、ホテルのみならず、飛行機もダブルブッキングが当たり前になっていることを初めて知った。
 飛行機の場合は、搭乗手続きがすんで機内に入った後、フライトアテンダントが「どなたか席をあけてくれる方はありませんか」「500ドルキャッシュバックします」とか「LA−NY間のチケットを差し上げます」とか言ってダブった乗客のために何とか席を空けてくれる方を探している。交渉成立して席が空けばいいが、予定の飛行機に乗れないとこまる人も多いだろう。
 日本人だと頭にきて、けんかをするか、一度乗り込んだのを金で席を譲ると言うこともあまりしないのではないだろうか。
 アメリカ人の場合、当たり前になっているのか、ダブルブッキングされてもあまり怒っている風ではなし、また、特に急がない客はあっさりと実を取って席を譲る人が多い。
 広いアメリカでは飛行機を新幹線などの感覚で利用している。ホテルにしても大きなイベントともなると遠くから来る客も多く、気象状況によっては飛行機が飛ばないためにかなりの客がドタキャンになることも多いのだろう。そう考えると、アメリカでのこのダブルブッキングという方法は、ある意味で機会損失をミニマムにするための工夫といえないこともない。

 ところで、今日の本題はダブル・ブック(ブッキング)の話だ。
ここ5年くらい、歳のせいか、おなじ本を買ってしまうことがたびたびある。最初のうちは、買って帰ってすぐに気がついた。すぐ気がつけばまだあきらめがつく。線を引きながら読み始めてしばらくしてから、「待てよ、この本たしか、以前読んだことがあるな?」と思って本棚を見ると奥の方から出てくる。
 読み始めて、すぐに気がつけばまだ許せるが、読み終わって、あとがき、その他を読んでから気がついたときには、いくら年齢のせいか、とはいえ、自分が情けなる。

 本というものにも買い時や「旬」がある。書店を散策して、いい本があるとすぐに買いたくなる。全て買うわけではない。いずれ読みたくなったときに書名を忘れて買えなくなることがあるので、手帳にメモする事も多い。また、本によっては、今すぐ読まなくても、買っておかないと、時がたって読みたいと思ったときに、見つからない、在庫切れ、絶版なってしまっているケースもある。
 そんなわけで、これといった本はすぐに読まなくても買っておいたもの、ちょっと読んでそのまま積読になっているものなどもかなりある。たいした蔵書数でもないし、きちんと整理して本棚に収納しているわけではない。そんなわけで、余計ダブルブックになってしまうことが多くなる。どちらかというと、講談社学術文庫シリーズの古典や、難い本が多い。家に2冊あってもしょうがないので、同じ読書傾向の友人に差し上げることが多い。henryさん、又、くれるのと本人は喜んでくれる。

 定年少し前に宴会のダブルブッキングをしたことがある。どちらもキャンセルできない友人だったので、“友達の友達はみな友達だ”のノリで一緒に宴会をしたことがある。
 本のダブルブッキングなら人に迷惑をかけるわけではないから自分だけがっかりすればいい。パーティーの日時、デート?等はダブルブッキングをしないよう気をつけたい。