「千の風になって」(新井満:講談社:CDブック)を妙齢友人の薦めで読んだ。どういうものか全く知らなかった。ネイティブ・アメリカンの読み人知らずの詩を新井満が訳詞をつけ、メロディーを付けた歌がCDとして販売されている。
新井満だけでなく、今までにいくつかの翻訳が知る人ぞ知るという形で世に出ていたようだ。新井満が個人的に私家版のCDを作って友人に配った物が口コミで広がり、出版社がCD付きの写真入詩集の出版となりブレークしたようだ。
「 a thousand winds 」と題するたった12行の詩だ。
欧米では既にかなり知られた存在とのこと。
1987年マリリン・モンローの25回忌の時、ワシントンで行われた追悼式の席上で朗読されたり、9・11のNY同時多発テロの1年目の追悼集会で朗読され、欧米各国に大きな反響を呼んだという。
短い詩の中に、あまりにも単純に、あまりにも素直に表現していることによって、聞く人のハートにすとんと入るのだろうと思う。
- 作者: 新井満
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2005/10/28
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (6件) を見る
仏教的、汎神論的、輪廻転生の内容も感じ取れるなどと理屈を言えるのだろう。また、一神教の欧米人の多くの人がこの詩に感動するというのも、心の奥深いところで、仏教の汎神論的思想、輪廻転生的考え方に共感するところがあるのではないかと思う。
いや、そんな評論家的分析を拒絶し、多くの人々を感動させるのは、理屈を拒絶する、単純さ、素直さを心で感じ取るからではないだろう。
この詩を名訳した新井満さんが「自由訳 般若心経」という本も出している。かなり斬新な訳をしているようだ。これから読んで、柳澤桂子さんの般若心経と比べてみたいと思う。