「神道とは何か」(鎌田東二:PHP新書)

松岡正剛の「千夜千冊」で紹介されていた、鎌田東二の「神道とは何か」(PHP新書)を読んだ。題名はシンプルすぎるくらいだが厚くない新書のなかで、神道を熱く語っている。いままでに、佐伯彰「神道のこころ」(中公文庫)、「神道の逆襲」(講談社現代新書)「神仏習合」(岩波新書)「日本の神々」(岩波新書)等の本を読んでいたのですが、古事記日本書紀や古代史の勉強が足りなかったので、いまひとつ理解が浅かったようだ。
 最近、古代史に興味をもっていろいろと読んでいくうちに神社、神道が面白くなってきた。そんなわけで、この鎌田東二の「神道とは何か」も読んでみた。
 古事記日本書紀から始まる神道ではなく、日本人の原始信仰、縄文時代以前の信仰、宗教というところから書いているところがユニークだ。鎌田はまた、神仏習合以前からネイティブ日本人の中にある自然信仰、アニミズムシンクレティズム(混淆主義)、神神習合として捉えている。仏教だけでなく、儒教も、ヒンズー教キリスト教の神も習合してしまうDNAが日本人、日本という民族にあるのではないかとの論理展開が新鮮だった。

神道とは何か―自然の霊性を感じて生きる (PHP新書)

神道とは何か―自然の霊性を感じて生きる (PHP新書)

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 以下はamazonでの紹介です。
 神道の精神は自然との共生にある。その歴史と著者自身の体験から、日本人に宿る自然性を明らかにし、アニミズム的生き方を再考する。
神社や森で突如感じる神々しさや畏怖の念??このような感覚に宿る生命中心主義、自然崇拝こそ神道の本質である。
 従来、弥生時代に起源を持つとされることが多かった神道。しかし本書は、縄文時代、さらにはそれ以前から人々に宿るアニミズムの感覚に遡る、より大きなスパンで神道を捉え直すことを提唱。その視点から神仏習合吉田神道の登場、神仏分離令に至る、神道の歴史を読み解く。
 さらに、「日常に神道は生きているか?」という現在に直結する疑問に答える形で、ディープエコロジーにつながる神道の原像を明らかにしていく。そして、大いなる自然から贈られ続ける生命に驚き、感謝して生きる「かみのみち」こそが、環境破壊・宗教不信など多くの問題を乗り越え、新たな世界を開く、と説くに至る。
 宗教学者でありながら、神主、祭りの主催者、神道ソングライターとして伝承文化の見直しと調和ある共同社会の創造を実践する著者による、壮大なる神道文明論。