「秘すれば花」(渡辺淳一:プレジデント社)

 数年前に買って積読だった「秘すれば花」を読んだ。雑誌「プレジデント」に連載されていたものだ。プレジデントの読者の、ビジネスマン向けに「風姿花伝」を分かりやすく説明している。世阿弥の「風姿花伝」は能の口伝書だけにとどまらず、シェイクスピアの生まれる200年前に戯曲を書き、芸術論、演技論を書いている。これはすごいことなのだ。芸術論を超えて人生論、処世術、哲学にもなっている。そんなところから、渡辺淳一がビジネスマン向きに、経営哲学的にも解釈して、分かりやすく語っている。
 渡辺淳一の書いたものは、「失楽園」など読む気になれない。この本だけは、プレジデントの連載を何回か読んでわかりやすかったので読んだ。ビジネスマンが“世阿弥”を読むのであれば、土屋恵一郎の「処世術は世阿弥に学べ」の方がずっと学ぶところ大だと思う。
 瀬戸内寂聴の「秘花」を読んだ後なので、「風姿花伝」を復習するつもりで読んだ。