英道塾

 先日の異業種交流会でお話を聞いたOさんの紹介で、前東北大教授の田中英道先生の「英道塾」に参加させていただいた。川崎のMs.Kさんのご自宅を開放されてのat homeな、文字通りの「塾」という感じ。塾生のほとんどの皆さん、ビジネスマン時代はそれぞれにかなりの職歴を持っていて、歴史や芸術に関しては一家言ある方ばかりだ。Kさんのお友達と思われるご婦人方が8名ほどだったろうか、参加されていた。総勢24名ほど、応接間にテーブルと椅子を置いて、ビッシリで座りきれないほどの膝つき合わせての勉強会だった。
 始めにメンバーのお一人、Oさんという方の、フェルメールに関するお話。このOさん、現役時代のお仕事は電機メーカーの管理部門であったが、若い時から美術・絵画好き。今までに訪れた海外を含めての美術館巡りは数百に及ぶという。フェルメールについて、画像などを見せていただきながら、いろいろな説明をしてくれた。 絵画のことはほとんど分からないHenryは、恥ずかしながら何も分からない。あとでOさんに聞いたが、やはり、絵画の鑑識眼、鑑賞眼は若いときから、多くの素晴らしい絵画、芸術に接するという経験によって育てられるという。
 私は、絵画については、若いときに感動した東山魁夷と最近見た平山郁夫くらいしか分からない。Oさん、英道先生によると、平山郁夫の画は駄目だという。どうしてかと聞いたら、シルクロードで止まっていて、そこから進歩していないからだという。
 どんな芸術(音楽も含めて)でも、鑑賞力がついてくると、何が名作で、何が駄作なのかが分かってくるものなのだろう。
 絵のわかる人から見れば、幼稚な鑑賞力なのかもしれないが、その時その時に絵を見て、素直な感動、感激があればいいのではないだろうか。
 田中英道先生、美術史が専攻との事ですが、Henry小生、英道先生が、西尾幹二さんの後を受けて、「新しい歴史教科書を作る会」の会長をされていたことや、「写楽は北斎である」など何冊もの本を書かれていることも、失礼ながら、知らなかった。
 専門の美術史関係は言うに及ばずですが、近現代史だけでなく、古代史を含む、日本の歴史全てを大きな視点で捉えられているところがすごいと思った。また、日本の歴史を、政治、経済だけでなく日本の美術史をからめて考えるという視点も新鮮だった。
 先生の話は休憩を入れて2時間ほど。5時頃終了し、その後は、ホステス役のMs.Kさんの手作りの夕ご飯を頂きながら、田中英道先生を囲んでの、歴史、美術談義といった雰囲気。小生はてっきり、軽くアルコールでもいただきながら、談論風発!?を予想していた。あにはからんや、終始、真面目に数人の方の、御節ごもっともといったご講義を聞くという会合だった。
 初めての参加だったのと、会に参加している方々が、かなり皆さん勉強していて、一家言ある方ばかりなので、さすがのUnchiku Henryとしても、質問や、意見を挟みにくかった。
 この英道塾、先生の講義を聞く勉強会だけでなく、2ヶ月に一度くらいの割で、遺跡や寺社巡りの旅もしておられるとのこと、最近では伊勢神宮、千葉県の遺跡巡りをされたとのこと。田中英道先生も同行して、いろいろと解説をしてくれるようだ。私も都合がつけば参加させていただきたいと思っている。