堀文子とミジンコと坂田明

家人に引かれて、銀座の画廊で開催されている堀文子の個展を見に行った。2007・9・16、NHK放映の「新日曜美術館」で「日々、いのち新たに〜日本画家堀文子、89歳の鮮烈〜」とタイトルされていた番組で堀文子という画家を初めて知った。その番組にジャズサックス奏者、坂田 明が出演していた。
 坂田明広島大学畜産学部水産学科(現・生物生産学部)を卒業。2003年には長年にわたるミジンコの研究普及活動が認められ、日本プランクトン学会より特別表彰されていて、ミジンコ研究者としても知られているという。あの坂田明がそんなミジンコ研究者とは知らなかった。
 一方、画家・堀文子は高齢で病を得て以後、画境求めての旅、外出もままならずに居た。そんなとき出会ったのが、顕微鏡の中の世界だ。レンズの下の一滴の水を泳ぎ回るミジンコに、堀さんは、シンプルだけれどミジンコという原始の生物は、その姿に、何億年も命をつないできた完璧な生命装置を発見して、それを絵にした。
 ミジンコを通じて、堀文子と坂田明が巡り会ったというわけだ。


個展会場は銀座のナカジマアートという、狭い画廊だった。花の絵などが女性に人気があるようで、女性が大勢見に来ていた。私は花の絵には余り興味はなかったが、ミジンコやクラゲの絵は面白いと思った。BGMで坂田明のCDがかかっていた。(左の写真は堀文子の絵ではなく、Webから取り込んだ本物のミジンコの写真です。)

 坂田明は今から30数年前、新宿「Pitin」で山下洋介トリオのライブで一度聴いただけだ。その時の山下、坂田の強烈な演奏スタイルが今でも脳裏に浮かぶ。その後、坂田明はTVで何回か見た。
 その坂田明が、90歳の画家、堀文子とミジンコで出会う。縁はいなものだと思う。ミジンコの世界も面白そうだ。