お伊勢参り:箱根越え <その2>

 芦ノ湖の気温は4℃位だったろうか、歩いていないとすぐ寒くなる。松坂屋は木造2階建て、良い旅館でストーブが各所に置かれているのだがとにかく寒い。風呂上がりも湯冷めしそうなので、長袖の上下の下着と浴衣、羽織を着ても寒い。暖かかったのは宴会場で酒を飲み、食事をしているときだけ。
 このグループは酒豪が多く、私はとても付き合いきれない。朝が早かったのと、肉体疲労もあって9時半には布団に入った。しかし、布団に入ってもなかなか身体が温まらず、足が冷たい。靴下をはいて、なんとか眠りについた。
 朝起きたら、洗面所の水道が凍結していて出なかった。朝食を済ませ、9時半出発。芦ノ湖恩賜公園を抜けて、箱根の関所を通る。最近作ったような歴史を感じない関所だった。箱根峠から三島に向かった。湯本からの登りに比べ、下りの石畳はさほど凸凹していない。しかし、長い下り坂は、膝がわらい始めてなかなかしんどい。山中城趾を過ぎた所に、宿の主人が教えてくれた見晴らしの良いところがあるという。富士山と三河湾が目の前に広がる公園のようなところで昼食をとった。 幹事のTさんが、三島への旧街道では16人が一度に入れてすぐに食事ができるところを探すのは難しいだろうと、旅館にあらかじめおにぎりを作ってもらっていた。コンビニのおにぎりより1.5倍くらいのボリュームだ。飲み物は冷たいお茶だけだったが、雲一つない富士山と三河湾を眺めてのおにぎりランチは美味しかった。
  そこからはかなり急な坂を下りていく。ますます膝がひょこひょこしてくる。普段使ってない腿の筋肉も疲れてくる。こういう筋肉疲労は大学の卓球部の合宿以来だろうか。しんどいがマゾヒスティックな感じもして、ひたすら黙々と下る。一種の“歩行道(修業)”のようなものだ。街中に入ったと思ったら、あっというまに三島大社に着いた。3時50分着、芦ノ湖から28,500歩余りだった。
三島大社にお参りをしてから、新幹線三島駅近くの「波露韻(ハロイーン)」という、そんな当て字をしなくてもいいだろうという居酒屋で反省会をした。ここまで、約33,000歩、19:19発のこだまで東京に戻った。自宅まで35,000歩、前日の22,500歩と合わせ、計、57,500歩の箱根越えでした。
 2日後の今日は足腰の痛みがあって、まともな歩きができずピョコタン歩きになっている。文明に毒された現代人Henryは、肉体的にかなり退化していることを自覚した箱根越えでありました。