最近の新書に思うこと & 本選び。

 最近は新書ブームというのか、やたらと新書が目につく。今、新書を出版しているのは20社を越えるのではないだろうか。新書の多くは、出版社の編集者がテーマを決めて、企画を立てて、作家、学者、芸能人、ジャーナリスト、政治家(秘書か)等に書いて貰うことが多いようだ。なかには、書かずにインタビューしたものや講演記録を、出版社が編集したものもある。著名な方の本と言えども、企画内容によってはつまらないものも多い。
 昔は新書といえば、岩波、中公、講談社文庫クセジュくらいだったろうか。最近の、文春新書、新潮新書集英社新書、PHP新書等、なかなかいいものを出している。さらに、新書参入が増えて、読者にとっては、ちょっと粗製濫造ではないかと思えるものもある。
 歌謡曲やポップスのシングルCDのようでもある。ヒットするか否か出してみなければ分からない。メジャーな歌手なら、曲がそれ程良くなくてもそこそこ売れる。音楽なら新曲はCDショップ、ラジオ、テレビ、Webなどで視聴できるので、自分の好みかどうか直感的にすぐ分かる。
 本の場合は、宣伝や書評を読んだり、本の帯も本選びの重要なファクターだが、読んでみなければ、いいか悪いか、判断が付かないところが辛い。
 図書館は借りる前にちょっと読んでみるということができるが、新書、文庫などの新刊はあまり置いていないのが残念である。
 大宮のそごうの三省堂の隣の喫茶店は三省堂の書棚から本を引っ張り出して、珈琲を飲みながら試読ができる。気に入らなければ書棚に戻さずに喫茶店の台の上に置いておけばいい。こういう喫茶店付きの書店が増えれば有り難いのだが。
 本選びにも目利きが必要だと思う。本選びには、そう失敗することはないのだが、時々買ってから後でがっかりすることもある。著名な作家、学者のものでも、2番煎じ、3番煎じのものは期待はずれのことも多い。
 私の本選びは、新聞の書評欄、週刊誌の書評、amazonのレビュー、松岡正剛の「千夜千冊」などを参考にしたり、いつも行く紀伊國屋などで目にとまったものを、前書きや後書き、目次、帯の文句などを参考に、最終的には、自分の判断を大事にする。
 親しい友人からの紹介も有り難いが、“本は自分を読む物”、“十人十色”、ひとさまのお薦めの本が、今の自分にぴったりとフィットすることは、なかなかない。人に本を勧めるのも気をつけなくてはいけない。だから、勧めるのはできるだけ控えめにして、“かくかくしかじかの本だから”“紹介する”という考えで、書いたり、言ったりしている。
 「本と金は友情を保つために友には貸すな」とも言う。貸す金の持ち合わせはもちろんない。本は原則的には貸さない。読みたければ買いなさいと言うか。あげてしまうことにしている。勧められて、貸してくれると言われると、困ることも多い。借りないわけにいかなくなるし、よほど読みたいもの、自分にとって面白いものでないと、なかなか読み終わらず、返すタイミングを逸してしまうことがある。
 最近の新書過当競争についてと、本の選択、扱いについて、つれづれなるままに書きました。