A塾:「日本史の中の世界一」「日本語が滅びるとき」

 今回は、先生の最近の著書「日本史の中の世界一」の紹介と「日本語が滅びるとき」の内容紹介を聞いた。
 「日本史の中の世界一」は例えば、正倉院は世界で初めての博物館であるとか、日本歴史の中で数多くの世界一があるのだというお話がたくさん詰まっている。今までに先生からお聞きしたことも多い。まだ本は入手していないが、ゆっくり読んでみたい。
 「日本語が滅びるとき」は水村美苗という方が書いたもの。この方、12歳の時に父親の仕事の都合でアメリカにわたり、しかも、中学生の間は毎日日本文学全集を読むことだけが楽しみであったそうだ。現象と問題点を的確に捉えて、意見の違いを越えた論陣を張っている。豊かな国民文学を生み出してきた日本語が、「英語の世紀」の中で「亡びる」とはどういうことか? 日本語をめぐる認識の根底を深く揺り動かす書き下ろし問題作! とamazonのレビューにありました。
 先生曰く、言語(外国語)は12歳までに教え込まれた言語でその人のmother Languageが決まる。12歳以後に外国語を学んだ場合、その言語で論文や、評論は書ける。しかし、小説や、詩歌は12歳までに、生まれ育ったMother Languageでしか書けないと言う。
 そういうことを、“指示表出”はできるが“自己表出”はできない、という言葉で説明された。
 私も7年ほどアメリカに駐在して英語で少々仕事をしてきたが、自己表出は言うまでもなく、指示表出もできずに苦労した。私などは英語で怒ることができなかった。ほんとに怒ると「ばかやろう」と日本語になってしまう。
 私の次男は12歳でアメリカに行ったが、中学、高校の6年間をアメリカの現地校で過ごし、日本の大学に戻った。最初は宿題をやるのに日本語の教科書が難しく、家内の助けを借りて、レポートを提出していた。
 次男は帰国直後は「月極駐車場」を「げっきょくちゅうしゃじょう」と読んだり、「生姜焼き定食」を「なましょうがやきていしょく」などと読んでいた。親としてはちょっと心配したが、今では立派な日本のビジネスマンになっているので、日本の歴史、文化をもっと勉強していけば心配ないと思う。
 海外に長い間住んでいると、何歳で行ったのか、何年間海外にいたのかによって、その後の人生がかなり影響を受ける。いろいろな帰国子女のケース、海外駐在員の家族のその後の生活などを見てきた。我2人の息子は幸い英語での指示表出ができる。文学、歴史、哲学の読書は余りしていないが、2人ともオヤジに説教するようになっているので、“自己表出”もそれなりにできているのだと思う。
 この本も図書館で探して読んでみようと思っている。