ラフレさいたま特別講座:和谷泰扶(わたにやすお)クロマチックハーモニカの挑戦

 オヤジが時々吹くハーモニカがなかなかうまかった。義兄がハモニカを何かの折にプレゼントしてくれた。たしか小学3年か4年の時だったろうか。家に何も楽器がなかった。何か楽器が欲しかったときにハモニカが手元にきて嬉しくて、知っているメロディーを片っ端に吹きまくった。姉たちが口ずさむ、テネシーワルツ、ハリウッド映画のテーマ音楽、エデンの東、遙かなる山の呼び声(シェーン主題歌)、歌謡曲などを吹いた。ハーモニカはメロディーを知っている曲なら簡単に吹けるので何でも吹いた。
 日本の曲はほとんどが半音なしで吹けるが、洋楽は半音の入る曲が結構ある。「枯葉」なども1,2カ所だったと思うが、半音高い音が出ずに悔しい思いをした。半音を出せるクロマチック・ハーモニカが欲しかったが、複音ハーモニカに比べ5,6倍の値段がしていた。自分の小遣いで買えたのは高校生になってからだった。
 最近はハモニカを吹くのは年に一回あるかないかだ。そんなわけで、ラフレの講座で「クロマチック・ハーモニカ」をやるというので聴きに行った。以前ブルースハープの演奏会に行ったことがあったが、クロマチック・ハーモニカの演奏を聴くのは初めてだった。
 クラシック、童謡、中国の古曲、タンゴのカミニートピアソラの曲や、ムーディーという人のハーモニカのための曲「スペイン幻想“トレド”」など、どれも素晴らしい演奏だった。世界一流のプロとはいえ、小さなハーモニカひとつでこれだけの演奏ができるとは信じられないくらいだった。
 私のハモニカは自己流でメロディーを吹くだけなので単調な演奏しかできない。今日の演奏を聴いた機会に、ハーモニカ用の楽譜を買って、もう少しそれらしく聴かせる演奏ができるように練習しようと思った。