三大珍味

 長男の同級生のやっている小料理屋に長男と一緒に飲みに行った。ここのマスターが酒の肴に「うるか」というものを出してくれた。初めて食べた。元高級料亭の三男坊のHenryと言いながら、あまり食通ではない。食通になるほどの金と暇がなかったと言うのが正直なところだろう。このうるか、日本の三大珍味という。このわたがその内の一つと思ったが、生のこのわたではなく、乾燥したものが三大珍味だという。もう一つのカラスミはそれほどのものではないと思うが、このわたは好きだ。昔、飲んべーのおやじが魚屋だったころ、なまこを料理しながら、なまこのはらわたのこのわたを客の見えないところで、つるっと飲み込みながら酒を昼間から飲んでた光景を思い出す。それから数十年、守口の酒場でその光景を思い出しながら、このわたで一杯やっている私がいた。血は争えないか。
 鮎の内臓をうるかといって日本三大珍味だと言うことを、恥ずかしながらこの歳になって、マスターから初めて教わった。Webで調べると、ウニ(塩うに)、カラスミ(ボラの卵巣の塩漬け)、このわた(なまこの腸の塩辛)が三大珍味として取り上げられている。うるかは入っていない。
 世界の三大珍味はキャビア、トリュフ、フォアグラ、日本の三大珍味も、どれも内臓、卵系だということに気がついた。三大珍味には入っていないが、たらこ、数の子、いくら、すじこ、しらこ、アワビの肝、あんきも、とりもつ、レバー、等々、内臓、卵系が酒の肴としてもおいしいものが多いことに改めて気がつく。
 日本の珍味はやはり日本酒が一番合う。うまい酒でこういう珍味を楽しむ機会は時々は持ちたいものだ。