伊勢神宮と神々の美術 特別展(東京国立博物館)

 伊勢神宮には20数年前に一度行った。そのときには伊勢神宮のなんたるかがまるで分かってなかった。その後、日本の原始信仰としての神道、日本の神話、各地の神社、万世一系の天皇制、神仏習合、etc.を学んできて、伊勢神宮の意味、素晴らしさと同時に問題点など私なりの理解をしてきたつもりだ。
 この特別展は第62回式年遷宮祈念の一環として開催されている。伊勢神宮式年遷宮は、前回は1993年(平成5年)の第61回式年遷宮まで、およそ1300年にわたって行われている。2005年(平成17年)から第62回式年遷宮の各行事が進行中で、2013年(平成25年)には正遷宮(神体の渡御)が行われることになっている。
 昨年から、式年遷宮を目指し、異業種交流会の仲間とお伊勢詣り、東海道歩く会に参加している。そういう思い入れからも、今回の特別展は期待して見に行った。特別展でも、アンドレマルロー、ブルーノタウトやたけしが感じたような“気韻生動”たる雰囲気を感じることができるのではないかと思っていた。
 「神々の美術」の数々は素晴らしいものが多かった。しかし、正直な感想では、殊更に感動するものはなかった。何体かの神像も、仏像の素晴らしさ、芸術性に比べると見劣りがした。又、伊勢神宮の神々しさを感じるような展示は、特にされていなかった。少しは伊勢神宮の空気に触れるような物を見せてくれるのではないかと期待したが、そういうものは無かった。やはり、実際に現地を訪れなくては実感できないと思った。
 夏休みのせいなのか、今までに見た仏像展よりも外国人の来館者が多かった。外国人にとっては、仏教のBudhaよりも、神道の“God”のほうが理解しやすいのだろうか。どれだけの外国人が、日本の神は“アマテラス”だけではないということを理解しているのだろうかと思った。