枝雀のRAKUGO(英語落語)鑑賞

 以前、高校時代の友人Tachanさんから、談志・枝雀のDVDを借りて、談志・枝雀のことをちょっと書いたら、同じマンションの先輩ANZさんが、私のブログを読んで、枝雀の落語全集、DVDを40枚持っているというので、数枚貸してくれた。昔、枝雀が英語落語をやっていると聞いていたので、英語落語が入っているものをお願いした。どんなものか一度聞いてみたいと思っていた。
 枝雀は中学時代から語学に興味があり、英語だけでなく、スペイン語や、エスペラントも勉強したという。落語家なのにシャイで、人との会話が苦手、ましてや外人さんと英語で話すなどと言うのはだめだったそうだ。一念発起して英会話スクールに通い、その英語教師の住むアメリカのペンシルバニアに行き、話すのが苦手ならば落語をやったらということで、庭でベッドのマットを2枚重ねて高座にし、近所のアメリカ人の農家の人たちの前で、「SUMMER-DOCTOR」を即席でやったのが英語落語の始まりだったようだ。 
 最初は、変な日本人が、なにを一人でぶつぶつ言っているのかと思ったそうだが。終わったときには、キス責め、サイン責めになったという。
 お借りしたDVDで、英語落語のSUMMER-DOCTORとSAGI-TORIを見た。英語字幕付きのものだった。聞く前は、英語が理解できるだろうかと心配だったが、やさしい英語で面白かった。 
 このRAKUGOを機会に、その後、ハワイ、LA、バンクーバーをはじめ、全米各地で講演したという。英語落語は枝雀の他にはトライした落語家はいないようだ。枝雀は日本でも歌舞伎座はじめ大阪で英語落語を何回か演じて、その都度満員になったという。
 
 アメリカや西欧の話をRAKUGOにしたらどうなのだろうか、アメリカにもトークショーというものはあるが、落語のように一人で何人もの人間を演じるというものは無いのではないかと思う。
 歌舞伎や能が世界各国で演じられ評価も得ている。落語もそれらと同じように演じられたら面白いのではないかと思う。
 「芝浜」など日本語でそのままでは無理だろうが、良い落語翻訳作家がいれば不可能ではないのではと思う。

 パックンマックンが日本で英語混じり漫才をやっている。これも英語のおもしろさを取り入れていてユニークだ。

 日本の漫画も今世界で評価されている。歌舞伎、文楽、能、狂言ほどの歴史はないかもしれないが、日本のユニークな古典芸能のひとつの落語がアメリカやヨーロッパで評価され、演じられるようになれば面白いと思う。平成7年のAPEC会議では会議の前に枝雀のRAKUGOが演じられたそうだ。喜怒哀楽は国が変わっても同じだろう。
 今の落語界は英語落語については、どのように考えているのだろうか。枝雀が開いた道を、誰かあとを継ぐ落語家がいないのだろうか。若手の落語家に頑張ってもらいたいと思う。