自主防災主催会講演会

 団地の自治会、自主防災会共済で「地震のしくみと埼玉県の地震環境」と題して自治会の会員向けに講演会を行った。講師は私の高校時代の同級生で、東大の地球物理を卒業し、東京大学地震研究所助手を皮切りに、地震一筋、防災科学技術研究所地震予知研究センター長を勤め、現在は防災科学技術研究所理事長をしている地震学の権威だ。
 私が自主防災会の活動を始めてから機会があればお願いして講演をしてもらいたいと思っていた。しかし、偉くなっていて、我が団地などに来てもらうのは難しいかなと遠慮していた。
 自治会の会員の中には、防災備品を揃えるだけでなく、もっと、地震に関するソフト面の充実を図るべきではないかとの意見もあった。要援護者の名簿の作成や、防災訓練は毎年実施しているが、今ひとつ新味が出ない。
 そこで、無理をお願いして同級のOさんに来ていただいた。Webで彼を検索すると色々な記事が出てくる。「魂の仕事人」というところで、5回にわたって彼の詳しい活動の記録が書かれている。
 そこにも書かれているが、彼は酒屋の息子で父親からは商業高校へ行って、家を継げと言われていたという。私は魚屋の3男坊、私もオヤジから勉強しないでいいから魚屋になれと言われていた。
 遺伝子の違いと、努力、勉強の継続だろう。実家から通える大学が東大でそこに現役で入ったのだから頭脳構造が違うのだろう。
 そのOさん、私がLA在住時にLAノースリッジ地震に遭った際、東京都の地震視察団の一員として、私の勤務していた会社の被災状況とその後の地震からの復旧状況などを見に来られた。その時、我が家にも来られ、歓談しながら、自身の話を色々としてもらった。
 福井地震の際の倒壊家屋は、福井城のお堀を埋め立てた所に立っていた家が、多く倒壊したという話や、家を買うときには、その土地の古地図を買って、そこが昔どんな土地だったか調べると良いという話、小田原地震、東海、東南海、東京湾北部地震などの周期など、興味深い話を聞かせてもらった。
 
 この日は、地震のしくみ、活断層、海溝、プレート移動などパワーポイントでプロジェクターに映写しての説明が分かりやすく、住民の皆さんにも好評だった。

 阪神淡路大震災では、生存者の救出は近隣住民によるものがほとんどで13,000人、テレビ報道では消防レスキュー隊や自衛隊の救助活動が目立つが、彼らの救出人数は1,400人程度で、住民による救出の十分の一ほどだったという。犠牲者の9割は自宅で死亡、96%がほぼ即死、地震発生後、最初の14分で死亡したという。
 震災の際には、何よりも近隣の住民の助け合いが大事であるということを具体的数字を持って、あらためて教えられた。

地震は人を殺さない、家や家具が人を殺す。
胸を圧迫されると息ができない。
・腹を圧迫されると横隔膜が下がれなくなり呼吸ができない。
・呼吸ができなくなると5分以内,長くとも10数分で死に至る。
・直接死因=窒息・その原因=胸腹部圧迫・その原因=家屋の倒壊

この日の講演会、約100名の参加、講師のOさんのお蔭で成功裏に終わった。
 防災会のメンバーにはもちろん、住民の皆さんからも分かりやすく、為になる講演会だったと好評をいただいた。
 この日聞いたことを、今後の防災会活動に役立てていきたいと思う。