「葬られた王朝 古代出雲の謎を解く」(梅原猛)

葬られた王朝―古代出雲の謎を解く

葬られた王朝―古代出雲の謎を解く

 出雲大社に3度ほど行き、古代史関連の本もある程度読んできた。梅原猛が「神々の流竄」、「水底の歌」で柿ノ本人麻呂や「隠された十字架」で聖徳太子など、古代史関連の本を書いている。数年前には「天皇家のふるさと日向をゆく」で日向神話にも興味が湧いた。高千穂や日向にも行ってみたいのだが、まだ実現してない。
 そんなことで、今回の“古代出雲の謎を解く”は期待を持って読んだ。梅原猛が古代出雲関連の色々な史蹟を自らの足で見て歩き、梅原流の想像力と推理で出雲王朝について語っている。遺跡、古墳、銅剣、銅矛、銅鐸、土偶、鏡など、写真入りで詳しく説明されている。私は出雲に3度行って、古代出雲についても多少のことは本を読んでいたが、まだまだ知らないことが多く勉強になった。
 しかし、色々なことが書かれすぎていて、“なぜ、葬られた王朝”なのか、その謎が、あまりスッキリと書かれていなかったように思う。梅原さんの情熱はいまだおとろえてはいないが、往年の切れ味が鈍ってきたのではないかという気がしないでもない。

 最近、奈良県明日香村の国史跡・牽牛子塚(けんごしづか)古墳斉明天皇陵であるとほぼ特定された。宮内庁は、奈良県高取町の古墳を斉明陵に指定している。今回、牽牛子塚古墳が斉明陵と事実上特定されたが、現時点では指定を変える考えはないという。
 私が学校で歴史を習ったときは仁徳天皇陵といって憶えたが、今は大仙陵古墳だいせんりょうこふん)と言うそうで、他の天皇陵なども、歴史家と宮内庁の見解が異なるということも知った。
 
 出雲の荒神谷遺跡、出雲大社の「心の御柱」の発掘などで歴史が新しく書き換えられたり、解釈し直されている。
 出雲だけでなく、邪馬台国論争など、まだまだ古代史関係は解釈の確定していないことが多い。そこがまた面白いところで、ロマンもあるところだと思う。