「古文の読解」(小西甚一:ちくま学芸文庫)

 高校時代、国語の苦手な私は、古文、現代文とも点が取れなくて苦労した。理科系受験なので英数理で点を稼げばいいようなものだが、数学、物理、化学などの得点もなかなか上がらず苦労した。そんな中で、古文ももう少し点が取れるようにと参考書を探した。
 その時、出会ったのが、小西甚一の古文の参考書だった。「係り結びは“因数分解”である。」という説明に妙に納得した思い出がある。「(・・・)こそ(・・・)けれ」と括弧でくくればいいというわけだ。
 「古文の読解」という本、ちくま学芸文庫で、帯に「今、蘇る伝説の参考書−この一冊で古典がわかる」と書かれている。私が高校時代に使ったものと同一ではないようだが、古文を復習してみたくなって買って読んだ。因数分解という説明はなかったが、(a+b)n=an+bnなどの数式を出しながら、「ならびの修飾」などを説明していて、理系の私には頭に入りやすい。
 およそ古文の参考書らしくない語り口で、古典の世界を「むかしの暮らし」、「むかしの感じかた」「用心文法」などの章立てで、実際の入試問題を取り上げて、解答の仕方、テクニックなどを教えてくれる。
 古文を原文の味わいをそこなわないで鑑賞するためには、古文の読解力が必要だ。とはいえ、日常的には古文を読む機会のほとんどなくなった私には、古語辞典や、解説、現代語訳がないと歯が立たない。
 難しいことだが、原文をじかに味わうためにも、古語辞典をできるだけ引きながら古文の読解の復習をしていきたいと思っている。