「インテリジェンス人間論」(佐藤優:新潮文庫)

 さきに読んだ「国家の罠」が面白かったので、この本を読んだ。外務省の在籍時代に間近に接した、歴代総理やロシア首脳、さらに歴史上の人物を“インテリジェンス”の視点から分析していて面白い。

インテリジェンス人間論 (新潮文庫)

インテリジェンス人間論 (新潮文庫)

 鈴木宗男と「北方領土」問題、橋本龍太郎と日露外交など、領土問題が、日露、日韓、日中、朝韓の間で大きな問題になっている昨今、あらためて外交の重要性を考えさせられる。エリツィンのサウナ政治(先日タケシの番組でサウナ政治は裸のつきあいでお互いの逸物を握り合う?!と話していたが、これは本当のようだ)や、橋本龍太郎が通訳の相談と言って、米原万里に言い寄った話など面白い話も多い。
 日本、ロシアの権力者の素顔、裏話など、一般人の知らない世界を教えてくれる。
月刊「新潮45」に連載した人物論等の評論を計19本まとめたという体裁で、前半はナマの政治家らに向き合った自らの体験をベースに書かれていて、面白く読めた。登場するのは、橋龍、小渕、森喜朗、小泉、プーチンエリツィンなど、どの話もそんなことがあったのかと知らない世界を教えてくれる。後半は、取り上げる人物やテーマに脈絡がなくなり、バラバラな印象を感じたが、一つ一つの人物論はそれなりに面白く読めた。