「長袴=下襲(したがさね)の裾(きょ)」&「ウェディングドレスのトレイン?はなぜ長いのか?」

 A塾でのT先生の講話が終わった後、いつものように先生を囲んで、K先生と女性の方の手料理によって食事をしながらの懇談をする。一人の妙齢Hさんが、平安時代からの衣冠束帯の長袴はなんであんなに長くしているのか、また、教会での結婚式でウェディングドレスの裾はなぜ長いのかと質問された。 私がそんなことは知るよしもない。T先生もご存じない。「調べれば分かるのだろうが調べてもしょうがない。調べない方が良いのです」とおっしゃる。これも「不可思議」、思議するなかれなのだろうか。 しかし、Hさんから名指しで質問された以上、好奇心の強いHenryとしてはそのままにできない。調べてご返事しましょうということになった。 Webで検索すると、この長袴は“下襲(したがさね)の裾(きょ)”ということが分かった。「日本服飾史資料」というサイトがあり(URLは下記)、そこで画像入りで古代から現代に至るまでの色々な服飾を見ることができる。 Webの別のページで以下のような説明があった。
<日本服飾史資料>  http://www.iz2.or.jp/fukushoku/f_disp.php?page_no=0000026

 「長袴」と呼ばれる袴は、当時の武士の正装(礼装)の一種。殿中では走ってはならず、刀を抜くことは切腹にあたる重罪、謀反・刃傷沙汰を防ぐために、殿中差しと呼ばれる短い刀を差し、長袴をはいて歩きにくくしていた。それと同時に長袴は戦意のないことを表すものでもあった。この長袴のために殿中では自分の袴でつまづいたり、他人の袴を踏んでしまったりという苦労は絶えなかったという。ちなみに忠臣蔵において浅野内匠頭吉良上野介を討ち損じたのは、殿中差しと長袴のためと考えられている。長袴の浅野に対して、吉良は「狩衣」という衣装で逃げやすかったのだ。

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 しかし、平安時代からの天皇他、皇族、貴族も同じ理由からとは考えにくい。“長いものには巻かれろ”庶民はそんな無駄なことはできないから、ある種の「権威の象徴」なのだろうか。 平成天皇の即位儀礼では「長袴」をお召しになられたのだろうか。 ついでに、ウェディングドレスについて調べてみた。こちらの方はトレーンと言ってドレスに付けるレース柄があしらわれた引き裾のことと判明した。娘が結婚された方はご存知かも知れない。こちらも、長いものを使用する事が望まれ、また格式があるとされているそうだ。 このトレーン、Web上の検索では、トレインではなくトレーンとかドレーンとでてくる。スペルを調べると、train、そうか、汽車だ。それならトレーンではなくてトレインではないか。trainの説明の中に“後ろに長く引きずるもの”とあり、a part of a gown that trails behind the wearer=ガウンなどの後ろに長く引きずるもの、とある。西洋ではウェディングドレスだけでなく、男のガウンも長く引きずった時代があったのだろうか。 ひょんな質問から、また余分なことを勉強してしまいました。人生寄り道も楽しでありましょうか。