今昔(いまはむかし)、遍理といふ一言多き、キザッペありけり。古文、國語、すこぶる苦手なりき。歳をかさね、少しは古文の味、分かるやうになりけり。
というわけで、最近読んだ「日本語の古典」と同じ著者の上記の本が図書館で目にとまり借りて読んだ。今昔物語集がこんなに面白いものだとは知らなかった。この今昔物語集、平安時代末期には未完成であったが、ひとまず作業終了後、奈良の寺院のどこかの片隅にひっそりと眠っていた。鎌倉時代中期にそれを持ち出して書き写した人がおり、その書写本が残っている。江戸時代には面白い話だけ取り上げた挿絵入り本も刊行されている。
しかし、芥川龍之介によってその文学的価値が認められるまで、その価値はきわめて低かったようだ。芥川の「鼻」「羅生門」「地獄変」や、谷崎潤一郎の「少将滋幹の母」等が「今昔物語集」の説話を素材にしているとは知らなかった。
原文と現代語訳が上段、下段で併記されているので、原文の生き生きとした表現も味わうことができる。
今昔物語集には千四十の説話が集められている。釈迦の話、霊験譚・蘇生譚、親孝行の話、奇怪な話など説話の万華鏡である。全部で三十二巻あるが、巻二十二以後に繰り広げられる世俗説話はたとえようがないほど面白いという。
- 作者: 山口仲美
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2004/12/18
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私の高校時代は徒然草、枕草子、平家物語、源氏物語くらいしか教わらなかった。今昔物語集の中の1,2の話なども授業で取り上げてほしかったと思う。
古文の授業など、今の高校生は私たちの時代より授業時間が減っているのではないだろうか。
NHKの教育テレビやBS放送で、古文の面白さを、山口さんのこの本のように、分かりやすく解説してくれる番組を作ってもらいたいと思う。