「いきなりはじめる仏教生活」(釈徹宗:新潮文庫)

 “いきなり”?どんなふうに仏教生活を始めるのか。若いときから仏教には関心を持ち続け、色々な本は読んできた。しかし、ブディスト?として真面目な生活をしているかというと程遠い。
 この本の著者、釈さんは50歳で浄土真宗本願寺派の住職。最近は玄侑宗久さんにしても自分より若い坊さんの本を読むことが多くなった。高齢の坊さん、学者の新しい本があまり見当たらないせいでもある。
 この本は浄土真宗の仏教生活ではない。宗教の本質をキリスト教イスラム教にも言及しながら書いている。又、仏教という宗教について、仏教の歴史、世界の仏教を原始仏典や、大乗仏教の経典などから引用し、分かりやすく説明している。
 禅宗の「十牛図」、公案などや浄土仏教の「二河白道」の話なども面白い。
 若い坊さんだけに色々なことに言及しており、用語解説もかなり丁寧書かれている。仏教に馴染みのうすい方でも興味深く読めると思う。
 仏教生活とは何かの結論ということになると、あまりはっきりとしないが、この本を読めば何となく分かるようです。まあ、遍理君は多少は仏教生活をしているかなといったところです。