「俳句的生活」(中公新書:長谷川櫂)

 文学的素養のない遍理が俳句的生活を送ろうとしてこの本を読んだわけではない。以前紹介した「和の思想」(中公新書長谷川櫂)を読んで、この人の考え方が私の心情にフィットしたので、読んだ。
 この本、俳句の解説書ではないが、芭蕉、蕪村、高浜虚子正岡子規など多くの俳人の俳句や、西行、紀貫之の歌についても述べている。また、漱石、鴎外、谷崎潤一郎などの文学や、能などにも触れながら語っている。有名な俳句が生まれた歴史、背景の説明などを入れて、俳句の解釈をより味わい深いものにしてくれている。長谷川櫂自身の俳句も載せながら、彼の“俳句的生活”を書き綴っている。
 とても小生にはできないが、ふとした折に“ひとつ俳句でも”ひねれればと思う。つくづく俳句とは日本語独特の素晴らしい芸術だと思う。俳句の英訳や、英語、フランス語での俳句愛好者も増えていると聞くが、やはり日本語独特の切れ字、五七五の表現は外国語では表現できない。外国語では「俳句」ではなく、あくまで「HAIKU」なのだろう。
 前にも書いたが、Unchiku Henry、長広舌(気味?)の小生としては、無駄なものを取り除く、俳句の精神を学ぶためにも、フォト俳句や、一行詩にもトライしたいと思っている。