「古文で身につくほんものの日本語」(鳥光宏:PHP新書)

 古文、国語が苦手だった小生、題名に引きずられて読んでみた。難しいことが書かれているわけではない。現代人にもう少し古文を勉強して、品のいい日本語、美しい日本語を話そうと提案している。
 この本の著者は国語の先生をしたことがあり、現在は塾の講師をしていて人気の講師だとか。
 そんなわけで、生徒から「先生、うさぎっておいしいんですか!」、先生思わずあんぐり。唱歌の「ふるさと」の歌詞である。また、「蛍の光」の二番、「かたみに思ふちよろずの」のかたみを「形見」と誤解するなど、笑ってすまされない話だ。“かたみに”は「互みに」と書くことは私も知らなかった。帰国子女同士の次男夫婦にもテストしてみなくてはいけないか。
 この先生、「古文って何語なのですか」との質問も受けたという。私は、高校1年の時、枕草子徒然草などの古文を勉強した。それまで、古文といえば小六の時に毎日2首、担任の先生に覚えさせられた百人一首の言葉を意味もわからず覚えていたくらいだ。そんなわけで、「源氏物語」などは、「いづれの御時にか、女御、更衣、あまたさぶらひたまひける中に、いとやむごとなき際にはあらぬが、すぐれて時めきたまふありけり。」の冒頭の文から、ほとんどすべての単語を古語辞典を引きまくり、英語よりも難しく大変だなと思ったことがある。
 若い時から無理して仏教書などを読んできたためか、最近では古文もあまり気にならなくなってきた。現代語に訳されてしまうと何となく味わいがなくなる。すらすらと古文が読めるわけではないが、辞書を引いたり、対訳本でできるだけ原文の良さを味わいたいものだ。
 古文の文法もだいぶ忘れている。大野晋の「古典文法質問箱」などを読み返してみようと思っている。