「日本語のこころ」(渡部昇一:講談社現代新書)

 渡部昇一の「日本史から見た日本人・古代編」の中でこの本の紹介があったのでAmazonで検索すると1974年初版だから38年前の出版である。絶版になっていて、当時480円だった本が中古で650円、今日再度検索したら2000円もしていた。やはり本はいい本で残しておきたいと思う本は、書店にあるうちに買っておくべきだと思った。

日本語のこころ (講談社現代新書 372)

日本語のこころ (講談社現代新書 372)

この本の内容は、以下、Amazonから引用します。
ローマ人が「法」を平等原理とし、キリスト教徒が、「神の前の平等」を築いたとすれば、日本人の平等原理は「和歌」であった。「万葉集」の作者が、兵士・農民から天皇まで、あらゆる階層のみならず、帰化人まで含んでいることが、これを如実に示している。和歌をよくすること、つまり日本語の真髄を体得することで、日本人のアイデンティティは形づくられた。本書は、日本人にとって日本語がもつ独特な意味を、他言語・他民族との比較、和語と漢語の対照など、縦横の引例・傍証で明らかにした注目の労作。

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冒頭に、ビリーバンバンの歌「白いブランコ」と「さよならをするために」の歌詞を紹介する。歌詞のすべてが「やまとことば」つまり、和語で書かれている。ブランコはポルトガル語から来ているそうだが、「ぶらここ」というやまとことばもあるという。そう言われてみるとポピュラーソング、歌謡曲、小学校唱歌は、ほとんどがやまとことばで作詞されているのではないだろうか。それに比べ、「ああ玉杯に花うけて・・・」の一高寮歌やほとんどの校歌は多くの漢語が含まれている。希望や野心に燃えているとき、出世を思考している若者には漢語の響きが心地いいのだろう。

そう言えば、我高校の校歌は「あけくれのみ教えに 文の山分けて入り、 朝夕のいそしみに学びの海、漕ぎて行く、匂いゆたけき文化の栄え かかりて我等が双肩(もろかた)にあり、・・・」と続く。変わった校歌だなと思って歌っていたが、この校歌もほとんど大和言葉だ。
渡部さん曰く「大和言葉は民族の魂の源に直接根を下ろしている言葉」だという。日本人のDNAの中に染み込んでいるのだろう。
最近はJポップスとかでわけの分からない歌詞の歌も増えているが、演歌、歌謡曲が消えてなくならないのもこの辺に理由があるのだろう。ここ30年のヒット曲の一位にSMAPの「世界にひとつだけの花」がなったという。この歌の歌詞全部は知らないが、これもほとんど大和言葉だと思う。

渡部さんの2冊の本を読んで、古今集新古今集百人一首がまたよみたくなって、ひもといている。