「世界史の中の日本 本当は何がすごいのか」(田中英道:育鵬社) 

 A塾の田中先生の新しい本を読ませていただいた。私は高校時代世界史を履修しなかったので、世界史の事は断片的にしか知識がない。中央公論の「世界の歴史」シリーズを数冊読んだが、通読はしていない。
古代や、インド、中国などの歴史はそこそこ興味はあるが、ヨーロッパの中世、近代などにはあまり興味がなかった。この本では題名にあるごとく、世界史の中での日本の歴史、世界の建築、美術と比較して日本の建築、美術の違い、位置付け等が分かりやすく説明されている。

 それぞれの国の歴史はその国家についてだけの歴史が書かれてきた。「世界史」を全体の視野に入れた歴史は、近代になって初めて西洋人によって書かれてきた。日本人学者によっても世界史は書かれているが、これは西洋の歴史感が基本になっている。これらは西洋の「世界史」を模倣して、古代、中世、近代などと時代を区分し、順を追って書いている。つまり西洋の「世界史」をそのまま翻訳をしたと言うわけではないかもしれないが、それを「日本史」の立場から書いたわけではないという。

 日本の歴史が、どのように世界の歴史と関連しているのか、世界と融合しているのか、世界と比較対照できるか、という世界の動きとのかかわりの中で、「日本人による世界史」が書かれなくてはならない時代が来たのだ。世界の動きが日本に与えた影響や、世界の動きと比べて、日本に見られる際立った違いや特徴などが、日本から見た世界史として書かれるべきだと、田中先生は言われる。
 西洋美術史が専攻だった先生が、その後、日本の美術、縄文文化、古代史、仏教美術など幅広く勉強され、「人間の歴史とは、進歩の歴史ではなく、文明の変化の歴史である。」、「人間の精神の歴史は、必ずしも技術の進歩とは一致していない」という視点から、世界史の中にあって、日本の何がすごいのかといったことを教えられた。

amazonでは以下の如く内容されている>

日本の歴史は世界史の視点で比べてみるとよくわかる。
四大文明と縄文文明、ギリシア神話と日本神話、コーランと十七条憲法フランス革命明治維新、ヨーロッパ型資本主義と日本型資本主義など、
ユニークな対比によって描かれた日本の“いいところ"。
日本と朝鮮、中国、アメリカ、イギリス、ドイツ、イタリア、フランス、ロシアの読み物コラム付き。
大好評『日本の歴史 本当は何がすごいのか』『日本の文化 本当は何がすごいのか』に続くシリーズ第3弾!

◇縄文文明は世界の四大文明に匹敵する!
ギリシア神話と日本の神話はこんなに違う!
◇都市の誕生は戦争がはじまったことを意味している!
◇なぜ仁徳天皇陵始皇帝陵やピラミッドよりも大きいのか?
ムハンマドコーラン聖徳太子の十七条憲法はどう違う?
◇中国の美術は日本の美術とどう違う?
◇負け知らずのモンゴルを破ったのは日本の組織力だった!
コロンブスは黄金の国・ジパングをめざしていた!
◇美術には「歴史の証拠」が残されている!
◇ヨーロッパ型資本主義と日本型資本主義はこんなに違う!
フランス革命、アメリカ独立と明治維新はこんなに違う!
◇日本の歴史の特長はその「一貫性」にある!

 『日本の歴史 本当は何がすごいのか』『日本の文化 本当は何がすごいのか』も読ませていただいた。どちらも日本の歴史のすごいところ、日本の文化のすごいところが分かりやすく書かれていて、再認識させられるところが多かった。
 
 日本人が書いた世界史や、世界で30年以上読み続けられているというマクニールの『世界史』も読んでみようと思う。

 世界史を勉強された皆さんも上記のような視点から日本の歴史を見つめ直されては如何でしょうか。

世界史の中の日本 本当は何がすごいのか

世界史の中の日本 本当は何がすごいのか