<水木しげるさん死去>

 水木しげるさんが93歳で亡くなった。ゲゲゲの鬼太郎はほとんど読んでいなかったが、10年ほど前に、南方熊楠の生涯を取り上げた「猫楠」(角川ソフィア文庫)を読んだ事がある。南方熊楠については、鶴見和子の「南方熊楠」(講談社学術文庫)や中沢新一の「南方熊楠コレクション南方マンダラ」、「南方熊楠 日本人の可能性の極限」(唐澤太輔:中公新書)などを読んできたが、熊楠の全貌はなかな捉えきれず、難しい。

 水木さんの「熊楠」は学者の書いた熊楠とは異なり、この本の解題で荒俣宏が書いているように、まさに妖怪作家水木しげるが、妖力の持ち主、熊楠をわかりやすく描いている。猫語を理解した?とも言われた熊楠をあえて「猫楠」なるタイトルとしたところも、「妖は妖を知る」といったところだろうか。

 水木しげる妖怪漫画ファン、また、南方熊楠に興味のある方にはぜひ読んでいただきたいと思う本です。

 

猫楠―南方熊楠の生涯 (角川文庫ソフィア)

猫楠―南方熊楠の生涯 (角川文庫ソフィア)

 

 

水木しげるさんは、天国、いや、”天の妖怪世界” で熊楠と邂逅をしているのではないだろうか。

水木しげるさんのご冥福を祈る。合掌!