禅をきく会


 曹洞宗の「禅をきく会」の講演会に行った。毎年一回、大宮のソニックシティーで無料で講演会をやってくれる。二年前には南直哉の講演もあった。今回は、金子稚子さんというライフ・ターミナルネットワーク代表の方。「”死ぬこと”から考える生き方」というテーマの話。どんなことを話すのかと思ったが、平成24年に41歳の夫を亡くし、夫の発病から、”余命0”と言われてからの死に至るまで、また死後のことについて、自分の体験に基づいてリアルな感情を込めて話してくれた。
 生と死について、宗教者や僧侶が語るのとは違った次元で話す事に新鮮味と説得力があった。
夫が死んでから、夫が何度か”とんぼ”になって現れたという話が印象的だった。

 もう一人の講師は永平寺西堂、駒澤大学名誉教授の奈良康明さん。東大印哲出身のエリート仏教学者、僧侶といった感じ。「ブッダとともに祈る」と題して、物静かでたんたんと話をされた。
「物に熟する時あるべし。例へばちひさき時、いろはを習い、世わたるとき、文かく唐土の事の書き残す事なし。いろはの熟するなリ。・・・慈悲も同じこと也。じひするうちは、じひに心あり。じひじゅくする時、じひを知らず。じひしてじひを知らぬ時、仏という也。」という至道無難の『無難仮名法語』の説明はいいお話しで、納得がいった。