〈2018年 読み納め 松岡正剛「面影日本」〉

 松岡正剛の千夜千冊エディション「面影日本」を読んだ。久し振りに知的好奇心を刺激される本を読んだ。
 松岡正剛が千夜千冊で紹介してきた、"面影をうかがう日本" の中から、枕草子西行、定家、方丈記徒然草、心敬などを紹介しながら「常世、鳥居、正月、翁、稜威」という五つのキーワードに即し、面影とはなにかについて、松岡正剛の該博な知識をベースに興味深く紹介されている。424頁の文庫にしては厚い本だったが一気に読んだ。
第一章 面影の原像
山折哲雄『神と翁の民俗学
山本健吉『いのちとかたち』

第二章 をかし・はかなし・無常・余情
清少納言枕草子
和泉式部和泉式部日記』
西行山家集
堀田善衛『定家明月記私抄』
鴨長明方丈記
吉田兼好徒然草
唐木順三『中世の文學』

第三章 連鎖する面影
三浦佑之『浦島太郎の文学史』六三五夜
石田英一郎『桃太郎の母』一二四四夜
近藤信義『枕詞論』
心敬『ささめごと・ひとりごと』
西郷信綱梁塵秘抄

第四章 ニッポンを感じる
ドナルド・キーン『百代の過客』五〇一夜
渡辺京二『逝きし世の面影』一二〇三夜
アレックス・カー『美しき日本の残像』
ロジャー・パルバース『もし、日本という国がなかったら』

 などなどが紹介され松岡の目で分析されている。どれも好奇心を起こさせてくれるが、来年の読初として、山折哲雄『神と翁の民俗学』、堀田善衛『定家明月記私抄』、西郷信綱梁塵秘抄』、ロジャー・パルバース『もし、日本という国がなかったら』等を読んでみたいと思っている。