「臓器たちは語り合う」を読む

 NHKスペシャルの「人体」シリーズの取材班が八本のシリーズをおさらいしながらさらに掘り下げて書いている。シリーズそのものも最新の研究成果の画像などを多く取り入れ興味深く見たが、改めてこの本を読んで、人体はメッセージ物質であふれていることを教えられた。
 これまで人体は『脳』が全身を支配し、その他の臓器はそれに従っている、というイメージがありました。しかしいまでは、臓器同士は脳を介さず連携し、そのネットワークが人体を機能させている、という考え方に大きくシフトしているという。
 心臓が出すメッセージ物質、腎臓や骨、内臓脂肪などの色々な細胞がメッセージ物質を出して、それらがネットワークを通じてつぶやきあって、連携を取り人体のバランスをとっている。まさに驚異的世界だ。通常はバランスをとって、病気にならないよう働いているのだが、過剰なアンバランスが生じた時に、そのネットワークが破綻して病気になるようだ。
 この本を読んで、人体のメッセージ物質のネットワークが、華厳経で説くところの一即多、多即一、重々無尽の因陀羅網(インドラの網)で語っているところと同じではないかと思った。
 改めて、昨今の人体に関する科学の進歩に驚くと共に、益々、「何ごとのおはしますかは知らねどものかたじけなさ=something great」、人体の不可思議に謙虚に感謝しなければと思った。
 ぜひご一読をお勧めします❗