「なぜ君は絶望と闘えたのか−本村洋の3300日」(門田隆将:新潮社)

 家人が図書館で借りてきた上記の本を読んだ。光市母子殺害事件を扱った本村洋さんの闘いの記録だ。この事件はTVで何回も取り上げられていたので知ってはいたが、どういう殺害事件だったのか、本村さんがどのようにしてこの事件の被害者になったのか、そして、どのようにこの事件、裁判を闘ってきたのかは何も知らなかった。
あらためて、この事件の悲惨さ、凄惨さを知らされ、殺人事件における、日本の裁判とはこういうものなのかということがわかった。
 1999年に事件が発生、4日後に18歳1ヶ月の犯人Fが逮捕された。その後、翌年の3月、山口地裁で無期懲役の判決、本村さんはなんとしても死刑をと、控訴した。その後、広島高裁が控訴棄却、上告、最高裁は二審判決を破棄し、広島高裁に差し戻した。07年12月最終弁論が行われ、翌年4月に死刑判決が宣告された。
 本村さんの活動はマスコミでも多く取り上げられていたが、この事件により、本村さんの努力で、「犯罪被害者基本法」の成立や、法律を変え、日本の裁判制度をいろいろな点で改革したことは、この本を読んで初めて知った。
 裁判員制度が始まったが、もし自分がこの事件のような裁判の裁判員に選ばれたらどのように対応するだろうかなどと考えながら読んだ。この事件のFは死刑に処するのが妥当だと思うが、裁判制度、死刑制度についても考えさせられ、勉強するところが多かった。
 この光市母子殺害事件Wikipediaはじめ、Webで検索するといろいろな記事がある。動画で本村さんの話や、犯人Fの父親のコメントを聞くこともできる。
 日本の現在の裁判制度、少年法、などについて考えさせられた。