筆記具雑考2

<線径について>
 最近は技術の進歩で筆記具の線径もだいぶ細くなってきた。特にゲルインクのボールペンは0.28mmのものまででてきた。油性ボールペンの最も細いのは0.4mmだろうか。どちらも細くなりすぎると紙との摩擦が大きくなりすぎて書き味が落ちる。小さい文字を書くのには線径が細い方がいいのだが、書き味を考えると私には0.38が限度だ。
 最近は手帳に書くときにはもっぱらゲルタイプ・ボールペンの0.4か0.5mmの物を使う。手紙や日記を書くときには気分によって0.7mmを使う。茶封筒の宛名書きなどの時は1mmの太いものがいい。
 油性のボールペンは0.7mmを使うことが多い。0.5は書き味が硬すぎる。各種伝票類はノンカーボン紙になっているのでゲルタイプ・ボールペンでは筆圧が弱くなってしまうので、複写がはっきりしなくなる。ボールペンでも1mmφだと書き味が滑らかになるので、これも筆圧が弱くなる。
 滑らかさという点ではゲルタイプにかなわないが、最近出た三菱から出た、JETSTREAMというボールペンはゲルタイプと間違えるほど書き味が滑らかでお勧めです。150円で0.7と1.0mmが発売されている。
 シャープペンシルは0.3~1.2mmまである。まだワープロが普及していない頃、今のようにPCでフォントを自由に変えられない時、手書きでB4の用紙1枚に企画書をよく書いた。1枚の中に盛りだくさんの内容を綺麗に書くために、0.3から0.9mm、芯の濃さも2BからHまでを使い分けていたことがある。今はPCがフォント、線径を自由に変えられる。楽になったものだ。

 通常のシャープは、ほとんどの方が0.5mmだと思う。私はミニサイズのシステム手帳をスケジュール管理に使っているが、この手帳への記入は0.3mmか0.4mmを使う。小さい字を書くには、0.5mmだと画数の多い漢字を書くときがつらくなる。シャープを使うのは予定が変更や中止になったとき消しゴムで消して書き直しをしたいためだ。
 欧米のシャープは0.7mmのものが多い。アルファベットだけであればそれほど細かい文字を書く必要はないし、欧米人の大きい手では0.5mmの芯ではすぐ折れてしまうのではないかと思う。
 もっとも、最近では欧米の筆記具メーカーも日本のマーケットを狙って0.5mmのものを出す所が増えたけど、ペリカンで0.5mmのシャープを見つけるのには苦労した。
 ちょっと大きめの鉛筆文字を書きたいときには、0.7とか0.9も気分が変わって味がある。

 万年筆の線径は外国製はFine, Medium, Broadの3種類程度。日本のメーカー、パイロット、プラチナなどは、極細から極太まで5,6種類あるだろうか。やはり漢字を小さなスペースに書くためには細い線径が求められる。しかし、便箋に手書きで書いた手紙を出す時には太字の万年筆がいい。

 人によっては、なんでそんな字の太さまでこだわるのと言われるかも知れない。しかし、行の幅と字の大きさ、太さの、バランス、読む方にとっての、読みやすさ、書面のバランスと美しさにいくらかでも気を使うと、文字の大きさと共に、線径:文字の太さをおろそかにできないと思う。

 線径を変えられる筆記具はペンテルのプラペンや筆文字の書ける万年筆などもあるが、筆にはかなわない。各種筆ペンもかなり書きやすいものが出てきたけれど本物の毛筆には及ばない。日本語を書くには線径を微妙に一画一字ごとに変えられる毛筆で書かれた文字(特に手紙)が一番素晴らしい。字がうまく書けるにこした事はないが、あまりうまくなくても、毛筆の文字はその人の人柄と顔が浮かんで味わいがある。

 次回は多機能ペンについて書いてみたい。