机の草子]目からうろこ

 妙齢カッカリーナさんから、「目からうろこが落ちる」の語源は聖書から来ているとのこと。「豚に真珠」も聖書からだと教えてもらった。
 てっきり、日本の諺か、中国からの言葉かと思っていた。インターネットで調べたら、こんな話が元になっている。「新約聖書」の「使徒行伝(使徒言行録)9サウロの回心」の中の話で、キリスト迫害に加担したサウロは、突然天からの光に照らされ、目が見えなくなってしまいます。しかし、その後、キリストの啓示を告げにサウロの家にやってきたキリストの弟子によって、元どおり見えるようになります。その時に、サウロの目からうろこのようなものが落ちたとあるのです。英文をみると、「fish scales(うろこ)」と書かれている。うろこはキリストの真の姿を見抜けない象徴的なものとして表現されていますが、のちにサウロは回心し、パウロとしてキリスト教の重要な伝道者となったことからも、人生の大転換を表現した言葉として、今に伝わったのでしょう。しかし最近では、もっと身近に、“なるほど、びっくり、意外”という意味で使われることが多いかもしれません。
 まさに“目からうろこが落ちる”思いでした。

 アメリカに駐在している時にも、英文の雑誌を呼んでいるときや、会話の中に何気なく表現されている言葉の中に聖書由来の言葉が出てくる。辞書を引いたり、人に聞いたりして少しは勉強したつもりだけどネイティブの心の中がわかるわけわけではない。こういった言葉の中には、西欧人の民族の歴史、宗教の歴史がしみ込んでいる。 私はキリスト教関係の本も多少は読んでいますが、聖書そのものは通読したことがない。民族同士が本当に理解し合おうとすればその民族の宗教を理解することも必要だろう。すべてを理解することはとてもできないが、せめて4大宗教、キリスト教イスラム教儒教道教)、仏教については、もう少し、お互いに勉強しあう必要があると思う。
 日本の義務教育では宗教教育は禁じられている。しかし、これらの4大宗教のことくらい、社会科(歴史)とか、文学、思想(哲学)として、小・中・高でもう少し突っ込んで教育すべきではないかと考える。