「生物から見た世界」(ユクスキュル:岩波文庫)

 何の本から紹介されたのか忘れたが、面白そうなので読んでみた。今まで、人間から見た、生物=動物、植物、昆虫関係の本や、生態学、形態発生学等の入門的な本を何冊か読んできた。この本のように“生物から”の視点で世界を語る、“生物から見た世界”を教えてくれたのはこの本の他にない。
 「昆虫:驚異の微小脳」を読んで、昆虫の眼が人間の眼と異なりどのように見えているのかを少し勉強したが、この本は、人間の目、立場からではなく、生物にとっての世界の見え方がどのようなものなのかを教えてくれる。
 ダニ、ハエ、クラゲ、イソギンチャク、イヌ等の知覚像と作用像の話や“なじみの道”、“家と故郷”、“仲間”などの話も、人間の論理ではなく、観察と研究から語られる内容が説得力があって、生物に対して、又、別の目を開かせてくれた。
 1934年にベルリンで出版された動物学の古典。多方面な分野に影響を与えた名著。1973に動物行動学者の日高敏隆さんによって翻訳されている。2005年6月に岩波文庫からの同じ日高敏隆さんによる新訳が出版されている。絵入りの160ページほどの本なのですぐに読めますが、中身はかなり考えさせられます。是非お勧めの面白い本です。

◆本の内容はうまく説明できないので、ご興味のある方は、以下のamazonに載っている読者レビューをお読みください。
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