読み初めの「歓喜する円空」を読み終わった。梅原猛がかなり入れ込んで数年がかりで全国の円空仏を訪ね、実際に目にし、円空関連の文献、書籍を読んで書いただけあってかなり重い本であった。この本を読んで円空仏の素晴らしさを再認識するところ、大であった。
円空仏の展覧会を見た時には気がつかなかったところを多く教えられた。また、円空の絵、歌なども詳しく分析、解説されている。 円空の絵、歌にも新しい発見をさせて頂いた。
梅原猛は、西行の歌と比較して、技巧的にははるかに及ばないとしながらも、西行の歌よりも思想的、哲学的にははるかに大きく深い世界をうたっていると誉めている。私もそう感じた。
円空の歌を三つほど以下に引用しました。
「皆人は仏になると願いつつ まことになれる けさの杉の木」 → まこと=仏、仏像
「老いぬれば 残れる春の 花なるか
世に荘厳(けだかけ)き遊ぶ文章(たまづさ)」
「よそながら 恋は其のまま 道もせで
深き淵には 身を沈めつつ」
単なる仏師(木彫仏製作者)ではなく、白山信仰の泰澄(たいちょう)や空海、法然に勝るとも劣らぬ希有な僧侶であったことが、梅原猛のこの本から学ぶことができた。
日本各地で12万体の仏像や菩薩像、十二神将、護神像などを彫ったという円空仏、今は2万対くらいしか残っていないという。この本を読んで、私も実際に安置されている寺にできるだけ出かけてみてみたいと思う。じかに見せてくれる寺は少ないのだろうが、ホームページで円空仏も色々と取り上げられているので、調べてから行ってみたいと思う。
読初で“円空仏”のことを書かしていただきましたが、これを読んでいただいた、会社の時の先輩が、奥さんの実家に円空仏があるから見にいらっしゃいとのこと。お宝鑑定団で間違いなく円空仏と認められたとのこと。早速お願いして、予定がつき次第見に行かせてもらおうと思っている。
埼玉県には円空仏がかなり多く、梅原さんの本でも169体あると紹介されていた。この先輩の話のような円空仏を数えたらもっといろいろと出てくるのだろうと思う。
本や、写真、展覧会で紹介される円空仏を見るよりも、できる限り、実際に寺に安置されている円空仏を直接見てみたいという気持ちが強くなった。