古事記、日本書紀は今までに何冊かの本を読んできた。古代史ものも読んできて、古事記、日本書紀がどのように書かれてきたか、解釈されてきたかは概略理解できるようにはなってきたつもりだった。この「読み替えられた神話」を読んで、古事記、日本書紀が中世、近代、現代に亘って更に色々と解釈され、また読み替えられてきたことを知った。特に中世の自由奔放な読み替えによる日本神話が、本居宣長、平田篤胤の古事記解釈につながり、ひいてはそこから明治・大正・昭和の国家神道につながるという神話の読み替えの流れと歴史について語っており、その分析には新しい視点を開かせてもらった。宮崎駿のアニメ作品、「もののけ姫」や「風邪の谷のナウシカ」の中に現代における、神話の読み替えを見たり、吉本隆明の「共同幻想論」や中沢新一の「チベットのモーツァルト」等に言及して神話の現代的解釈について語っている所が面白かった。
古事記、日本書紀に関するもの、中沢新一の「人類最古の哲学」「対象性人類学」などを少し読んだり、宮崎アニメを見てからこの本を読むと面白さが倍加すると思う。