「一神教の闇」(安田善憲:筑摩新書)

 最近、神道関係、新しい仏教のMovemennt、新しい神仏習合、神神習合などに関する本を読んで、自分の中でもアニミズムに対する共感が芽生えてきた。
 このかけがえのない地球で、民族の違い、宗教の違いを超えて世界の平和と繁栄、地球環境の保全を考える時、著者の安田さんの提唱する「アニミズムルネッサンス」の運動に共感を覚えた。
以下はaazonの解説です。

                                                                                                                      • -

 地球規模で進む環境破壊の背景に潜む宗教的価値観や文明観を考察した1冊。 対比して論じるのが一神教アニミズム。超越的秩序の宗教と現世的秩序の宗教とも言い換えられる。前者は、神の国という幻想の世界を信じ、後者は目の前にあり、現実に存在する命ある世界を重視する。このように宗教・価値観に違いが生まれたのは、両者に力でコントロールする畑作牧畜、持続を重視する稲作漁労という文明の違いがあったためと解説する。アニミズムの世界観の復権を これまで、超越的秩序の宗教を持たない社会は不完全、野蛮、猥雑といった表現がされることが多かった。著者はそれを「大きな間違い」だと主張する。むしろ、「今日の地球環境問題は、目の前にある現実世界の生命倫理と地球倫理よりも、人間中心主義の倫理を重視することによって引き起こされた」として、一神教の“闇”の側面に光を当てる。 森や海、川、またそこに生きる生物を尊ぶ気持ちこそ、今日の地球環境問題解決に不可欠な要素である。著者は、市場原理主義に支配された現代文明を止揚し、地球環境問題の危機を回避するためには、現世的秩序に立脚した「美と慈悲の文明」「生命文明」を創造するしかないとして、アニミズムの世界観の復権を提唱する。 そのために日本がすべきことは何か。まずは、アジア・太平洋地域に数多いアニミズム文明の伝統を残す国々と深い友好関係を結び、「アニミズム連合」を構築してアニミズムの心を世界に広めること。さらに、自然が培ってきた英智を人間の暮らしに利用することで、自然に負荷をかけず、エネルギーを循環的に利用する持続型文明社会としての「ハイテク・アニミズム国家」を構築することである。こうして、世界の平和と繁栄、地球環境の保全に貢献すべきだと訴える。 アニミズムルネッサンスを最初に提唱した1990年以降、世界中の反論を受けながらも屈せず、アニミズム研究を重ねてきた著者の強い思いが感じられる。