伊勢神宮ミヤゲ話2

 妙齢さんの伊勢神宮の土産話をもうひとつご紹介。伊勢神宮の近くの土産物を売る店の軒先には、ちょっと変わった注連飾りが並んでいる。「蘇民将来子孫家門」と書かれたものだ。(添付の画像をご覧ください)“蘇民将来”変わった名前だと思ったが、最近読んだ、古代史関連の本に以下のような伝説、神話の話があった。

 備後国風土記逸文に以下のようなことが書かれている。かつて武塔神(むとうしん)が南海への旅の途中、伊勢の地を訪れた時に、宿を乞うた武塔神(むとうしん)を裕福な弟・巨旦将来(こたんしょうらい)は断り、貧しい兄・蘇民将来は粗末ながらもてなした。後に再訪した武塔神は、巨旦の妻となっていた蘇民の娘には茅の輪を付けさせ、それを目印として娘を除く巨旦の一族を滅ぼした。武塔神スサノオを名乗り、以後、茅の輪を付けていれば疫病を避けることができると教えたとする。
 これと似た話は、祭祀起源譚としておおむね似た形で広く全国に伝わっているようだ。京都の八坂神社や伊勢・志摩地方の年中行事をはじめ、厄除け祈願として茅の輪潜りや蘇民将来護符の頒布、注連飾りなどの祭祀が盛んに行われている。近畿地方を中心に日本各地に伝わる説話、およびそれを起源とする民間信仰とのこと。
 しめ縄といえば「笑門」と書かれているのがお決まりです。しかし、このしめ縄には「蘇民将来子孫家門」と書かれています。また、このしめ縄は、一年を通じて飾られる。
 伊勢地方の注連縄には「蘇民将来子孫家門」が多いが縮まつて「将門」、縁起を担いで「笑門」とも書かれる。
 恥ずかしながら、この歳になって、ますます知らなかったことが次から次へと出てくる。知的好奇心と、学ぼうという気持ちがある間はそう早く老け込むことはあるまいと自己満足している。
 伊勢神宮をお参りしている小学生の遠足か? 引率の先生が、生徒に神社参拝をさせることはできない。“単なる歴史”として教えるだけだという。伊勢神道宗教法人だと思うので立派な“宗教”なので、宗教教育の匂いのすることはできない。同じように寺での仏教、教会でのキリスト教なども教えられない。
 昨今の“心の教育”の不在を考えるとき、日本人が古来から信じてきた“やおよろずの神(仏)”を宗教としての“やおよろず教”ではなく、《やおよろず哲学(法=ダルマ)》とすれば、その中で、神や仏、キリストなどを包括した、哲学、倫理、信仰心を教えることができるのではないかと考えている。
 今これと同じようなことを真剣に考えて、いろいろな角度から語りかけている、僧侶、神道家、学者、作家が増えてきている。一人でも多く、こういった思想の共鳴者が増えて、世界に広がる“世直し”の実現を21世紀中ごろまでには期待したい。
◆ 日本人の昨今の「粗民」ぶりの「将来」を憂えて、
蘇民将来の注連飾りから、つい、HenryのGuchi Unchikuになってしまった。