美空ひばり 生誕70年 その2

 2日目は、映画監督の沢島正が語り手で、ひばりの思い出を語りながら懐かしい曲を聞いた。沢島正という監督のことは知らなかったが、時代劇の雄ということで、往年のひばりの映画をたくさん撮ったようだ。森の石松などの男役も多く演じた。監督の話によると何十手という立ち回りを一度で覚えてしまい、セリフを覚えるのも早かったそうだ。今更ながら天才芸人だったのだろう。
 この歳になって、あらためてひばりを聴くと歌のうまさと声域の広さ、ファルセットの見事さに感心する。
 そこでハタと思いついた。ひばりの声は“両性具有の声”なのだ、と思った。いや、声だけでなく男役も演じることのできる、“両性具有”の俳優、芸人だったのだろう。宝塚の男役とは異なるが、いまだにおばさんファンがたくさんいるのも、そんなところに秘密があるのだろう。
 ひばりは、日本の大衆芸能のすべての要素、宝塚、歌舞伎、浪曲都都逸、演歌、歌謡曲、映画、etc.これらすべての要素をあわせもったエンターテイナーだった。日本では二度と出てこない芸人だろう。歌手ということでは、プレスリー、シナトラ、イブ・モンタンサッチモにも比肩されるだろう。
◆私は熱烈ひばりファンというわけではない、しかし、たまに歌うカラオケでは下手なくせに「悲しい酒」を歌ってしまう。北海道の釧路から羅臼に向かう出張の折、零下15℃の中標津の居酒屋で、ホッケの開きをつまみに、一人、焼酎を飲みながら、有線で「悲しい酒」をリクエストした。そんなムードの中で聴くこの曲はまた“おつ”なものでした。
団塊世代が70,80になるまでは“ひばり”も生き延びるのだろうが、その後は忘却の彼方に去っていくのだろうか。息子世代にも歳がいけば、ひばりの素晴らしさは理解されるのだろうか。
 山口組との関係、実弟のトラブルなど、私生活ではいろいろなことがあったようだが、あらためて、デビュー当時からの歌を聴き、画像を見ると、自分の幼少時代、青年時代と時代が重なり、その時代を思い出させてくれる。
◆テレビでも6/23、6/24とNHKでひばり特集番組が放映されている。懐かしい映像があるようなので録画しようと思っている。