[机草子]昭和史 その2

 510ページ余りの「昭和史」を読んだ。先日買った、高校の教科書「高校日本史B」(山川出版)の昭和史の部分を読んでみた。わずか50頁余りしか書かれていない。大きな事件、事変も数行の説明しかない。満州事変も4行、ノモンハン事件は3行、長くても、盧溝橋事件に始まる日中戦争の説明でやっと9行だ。今話題になっている、沖縄決戦や、集団自決のことは書かれていない。
 以前、ある会合で、「新しい歴史教科書をつくる会」の会長の話を聞く機会があり、教科書の市販が認められるようになってからの、扶桑社の中学生用「市販本 新しい歴史教科書」買って読んだ。この教科書も沖縄戦のことは3行のみで、当然集団自決のことは記載されていない。どちらの教科書も表現に微妙な所があって、読み方によっては問題の箇所や表現の気にかかる所がところどころにある。
 「市販本 新しい歴史教科書」の巻末には付録として、文科省の学習指導要領も掲載されている。今までに自分なりに理解してきた日本史と解釈の異なる所も多い。学校の先生はこれらの指導要領に基づいて、どのように教えているのだろうかと気になる。
 私の高校時代の日本史の授業では、時間が足りなくなったためか、教師が近代史や現代史を教えることを敬遠してのことだったのかわからないが、近代、現代を教えてもらった記憶がない。
 私の二人の息子達はそれぞれ、中一、高三でアメリカに行ったので二人ともまともには日本史を勉強していない。息子達と歴史、特に昭和史についてなど、話したことなどない。一度だけ、次男が中学三年のころだっただろうか、「おやじ、東条英機について書かれたものを何か持っていないか」と聞いた。何のためかと思ったら、American Historyの授業の中でレポートを書かなくてはいけないという。たまたま購読していた「Time」に第二次世界大戦特集で東条英機についても書かれていたので、Timeは難しいだろうと思ったがそれを貸した。
 今、福田政権になって、憲法改正問題やテロ特措法、沖縄の集団自決の教科書表記問題など、第二次世界大戦及びその後の日本の歴史にかかわる問題が取り上げられている。
 歴史の生き証人が少なくなりつつある現在、われらシニア世代は子ども世代、孫世代に歴史を正しく伝え、時に語り合わなければいけないなと思うこのごろです。