平山郁夫展
東京国立近代美術館に平山郁夫展を観に行った。平日だが、21日までということもあるのか、シニアの見学者でかなりの混雑だった。先日TVの日曜美術館で平山さん自身の解説を聞いたり、「玄奘三蔵−祈りの旅」を読んでいたので、絵画のことが良く分かっていない小生でも、より理解ができた。
本やテレビで見るのと雲泥の差で、現物をまぢじかで見る迫力といい、美しさといい、素晴らしかった。「出現」「建立金剛心図」「求法高僧東帰図」写真やテレビでは単なる金色や黒としか見えなかったものが、大きな絵のすぐ前で見ると独特な金、黒、緑、青が微妙なレリーフ状の立体感で迫ってくる。
薬師寺の玄奘三蔵院伽藍の≪大唐西域壁画≫は、毎年公開の時期が限られているので、少しでも多くの人に壁画を見てもらいたいという想いから、平山郁夫がそれらを縮小して製作したという作品が展示されていた。薬師寺に行かなければ現物が見られないと思っていただけに思いがけず見ることができてよかった。これを見たら薬師寺の壁画そのものがますます見たくなった。
他には、ほとんど独特の深い青一色で描かれた「月華厳島」や、被爆した平山さんが戦後30余年を経て描いた「広島生変図」が印象深かった。
絵のことは全くの素人だが、今までに行った絵画の展覧会でほとんどすべての絵に心を動かされたのは、東山魁夷と平山郁夫くらいだろうか。好みと感性の問題だろうが、西欧の画家の油絵からはほとんどハートに響いてこない。自分の中にある日本人としての文化DNAが共振しないのだと思う。