「静けさに帰る」(加島祥造・帯津良一)

 この本は、「伊那谷の老子」でちょっとブレイクした加島祥造さんと、西洋医学と東洋医学の統合を目指す、帯津三敬病院の院長でもある、帯津良一さんとの対談形式になっている。
 加島祥造さんは英文学者で、以前、彼の書いたものは、新書で「英語の辞書の話」などを読んでいた。伊那谷の老子を読むきっかけは、中野孝次の「閑のある生き方」の中で、友人としての加島祥造と加島の老子に関する本の紹介があった。
 帯津さんは、「癒しの法則―心身をととのえる『生命場』のしくみ」という本を読んで、新しい視点から現代医療を考え、実践されていることに共感した。
 それぞれの道で年輪を重ねてきた二人の対話がすがすがしい。
 「『死』は大いなる循環の中の一変化」、「命というのは場のエネルギーだから、いたわるものではなく、 日々高めていくもの」、、「動植物すべてがその生かそうとする力に従って生きてゆく。憂いや死への恐れで生きてはいない」 などなど、どの言葉も胸にしみる。会話に気負いや嫌みがなく、文学・医学だけにとらわれず多方面の情報と経験を語り合い、幅が広い。いろいろな面で興味が湧き、楽しんで読める奥の深い本になっている。
 巻末に載っていた以下の詩がいい。
  
 水の行く先は−−−海
 草木の行く先は−−−大地
 いずれも静かなところだ。
 すべてのものは大いなる流れに従って
 定めのところに帰る。
 
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静けさに帰る

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