島根紀行 その4 島根県立海洋館「アクアス」

久しぶりに、大きな水族館に行った。いろいろな珍しい海の生き物を見た。人類も太古の昔は海から生まれた生物の進化の系統から生まれてきた。母胎の羊水は海水の成分とほぼ同じだという。人間は太古の昔の生命のふるさとを身体のどこかで憶えているのかもしれない。だから、水族館は、大人にも子供にも人気があるのだろう。

 我が家人はかなりの水族館オタクで、旅先では必ず水族館に行く。
「君は魚の頃のDNAが強く残っているのではないか」とよくからかった。そういえば、我が家人、別の理由からだが、私の兄弟から「シーラカンス」というあだ名を付けられたこともあった。
 家人に見せたい海の生き物がたくさんあった。
色々な熱帯系の魚が入っている、一つの水槽で、ちょうどえさをやる時間に遭遇した。飼育員の女性が説明してくれた。小エビやアミのような小さな餌のほかに、海藻の代わりに小松菜を与えているという。魚が小松菜をむさぼるように食べる光景にも驚いたが、飼育員が餌をやる前に、我々の前から姿を消し、ドアから水槽の水面にあがっていく前にすべての魚が水面に上がっていったことにはもっと驚いた。後で飼育員に、「なんで魚は食事の時間がわかるのか」と聞いたら、「人の動きの気配やドアの開閉、時間、などで察知するようだ」と言う。
 魚の魚眼がそんな細かい動きをとらえるのだろうか。魚にも腹時計があるのだろうか。魚がこんなに賢いとは知らなかった。魚の世界も不思議がいっぱいだ。魚屋の三男坊として、もっと魚のことを勉強しておくべきだった!

 白イルカの水中ショーも素晴らしかった。3頭のイルカが水中に、同時にバブルリングを吐き出す。イルカの口の先を、よくご覧ごらん下さい、小さい白い輪が見えると思います。どのようにトレーニングしたのだろう。一頭でも大変なのに、三頭同時というのには驚いた。バブルリングの動画は以下のURLでご覧になれます。お孫さんがいる方は是非見せてあげてください。
 今、NHKスペシャルの「宇宙 未知への大紀行」という本を読んでいるが、その中でイルカの脳について書いてあった。バンドウイルカの脳の大脳化指数は4.5で、同じ大きさの身体を持つほ乳類の、平均的な脳の大きさと比べ4.5倍も大きいことを示しているという。ちなみに人間の大脳化指数は7.5。イルカは過去6000万年の間に独自の進化を遂げた。それに対し、ヒトの脳が急速に大きくなったのはおよそ300万年前くらい前からのことで、少なくとも200万年前までは、地球でもっとも大脳化が進んでいた哺乳類はイルカだったそうだ。

 イルカには右脳、左脳があり人間の脳と構造的には似ているという。イルカにはイルカの知性がある。長い時間と環境の中で独自の進化をしてきたのだろう。
 このアクアスで神秘的な動きをする、何種類かのクラゲも見た。先ほどの本の中で、クラゲやヒドラニューロンは人間のそれと非常によく似ているという。
 水族館で撮影した画像を見ながら、改めて、海の生物の多様さ、いのち(生命)の不思議、奥の深さに、Something Great を感じた。


http://www.aquas.or.jp/