お彼岸墓参り&麻布散策(9月23日)

 長男が突然「オヤジ、お彼岸に墓参りには行かないのかよ」と電話してきた。私の父の命日が9月21日なので、ちょうど、家内とオヤジの墓参りもしなくちゃなと思っていたところだった。
 父が死んでから40年たっている。昼間は真面目な職人気質のオヤジ、夜は飲んべえのしょうもないオヤジだった。しかし、「末吉」という名のオヤジは、若い頃から、周りの人たちから「ほとけの末ちゃん」と呼ばれていたそうだ。長男が生まれたのはオヤジが死んでからだから、長男は私のオヤジのことは知らない。「ほとけの末ちゃんと言われた位だから、墓参りをすれば何らかの御利益があると思うよ」と長男に言った。
 この墓には、6年前に他界した次兄も眠っている。読書の好きだった兄貴が今生きていたら、酒を飲みながら、読書論を語り合うことができただろうと思うと残念だ。
 寺はオーストラリア大使館の前、東京タワーを望む地にある。長男と共に、墓に花と酒を添えて、家内安全、健康を祈念してきた。
 帰りに、麻布十番を散策、久しぶりに六本木まで歩いた。この辺を歩いたのは数十年ぶりだろうか。若い頃は何回か夜の六本木にJazzを聴きに行った。昔に比べ随分とオシャレな町に変身していた。
 妙齢さんに教えて貰った名物の老舗鯛焼き家「浪花家」を探して行った。間口一間ほどの小さい店、注文しようと思ったら、今からの注文は1時間待ちとのこと。そこまで待てないので買わずに帰った。店の若い衆があらかじめ電話で注文しておけば待たないですむと教えてくれた。
 クリスピー・ドーナッツはだいぶ下火になったようだが、ここもクリスピー現象か、日本の女性は「どこどこの、なになにが美味しい」ということになると、長い列ができてもジッと我慢して目的を達成する。私は気が長い方だと思うが、何事も並んで待つということが嫌いなので、床屋も、美術館も、映画も長い列ができていると諦めて帰ってしまう。
 今まで、何回もこの寺で法事をしてきたが、いつも終わるとJRの田町周辺で家族兄弟で食事会をして帰っていた。反対側の麻布、六本木がこんなに近いという距離感がなかった。しばらく法事はないが、次の墓参り、法事の時には、麻布か六本木で食事会をして解散すれば、若い甥、姪やその子供達もアフターディナーが楽しめると思った。私もたまには六本木でJazzが聴きたいと思った。
 ともあれ、早くに成仏し、彼岸から来てくれた、両親、兄貴に対面してきた。