「禅のいろは」(玄侑宗久)

 家人が図書館で借りてきた。いよいよ家人も禅を学ぶ心境かと感心した。禅の入門書かと思ったら、「いろはかるた」に引っかけて、禅を語っている。読みやすく、確かに禅の入門書的でもあるが、なかなか奥が深く、玄侑さんの説明が味わい深い。「犬も歩けば棒にあたる」から始まり、あらためて、そういう意味だったのかと教えられるところが多かった。いろはかるたをこの本のように子供に教えたらば教育的効果大だと思う。子供にというより、私を含めて戦後世代の我々は、いろはかるたは知っていても、その奥にある深い意味まで知らない人が多いのではないだろうか。
 「老いては子に従い」、Henryとっくに子に従って、妻に従って?いるつもりだが、まだまだ頑固な親父だと思われている。
 この「老いては・・・」が龍樹が書いた『大智度論』が出典だったとはこの本で教えてもらった。
 「一切の女身、隷属する所なければ、則ち悪名を受く。女人の体、幼ければ則ち父母に従い、少(わか)ければ夫に従い、老いれば則ち子に従う」という“女の三従”の説明もあった。
 女を「男」に変えて、“男の三従”としたほうがいいのではと思いながら読んだ。
 「年寄りの“冷酒”」はほどほどにして、「論より証拠」「unchikuより実践」をこころがけ、「棒にあたるくらい」歩かなければいけないと思い、「老いては妻に従う」べきなのだが…、まだまだ煩悩多き遍理(Henry)であります。