「新・細胞を読む」(山科正平:講談社ブルーバックス)

 この本も友人S君に勧められた。彼は文化系出身なのだが、こういったブルーバックスのサイエンスものをよく読んでいる。しかもその内容をよく憶えていて、会話をしていても、よどみなく専門用語が出てきて、論理的に説明できるところが凄い。私が頭が上がらない友人の内の一人だ。
 この本、「『超』顕微鏡で見る生命の姿」という副題が付いている。“細胞を見る”ではなく、最新の“超”電子顕微鏡で見た細胞の数々を見せてくれながら、細胞を見せ、細胞を“読ませて”くれている。
 最近はテレビなどで医学番組も多く、そういう番組の中で細胞や細菌、ウィルスの画像などを見せてくれている。しかし、この本を読んで、最近の超電子顕微鏡が人間の体のいろいろな部位の細胞をここまで詳細に見せてくれていることに驚いた。
 一つ一つの細胞の中のリボソーム、ゴルジ体、ミトコンドリアなどの詳細画像にもあらためて目をみはる。舌、耳、鼻、肺、腎臓、肝臓などそれぞれの器官の微細な構造まで見せてくれる。舌の先端には爪のようなとげがついていることも初めて知った。人体のいろいろな部位の細胞が、たった一つの受精した卵細胞から分化して、人間の体のいろいろな機能を担う、臓器、血液、神経、骨、筋肉などの細胞として生きている。それらの細胞の大きさが数十ミクロン、その細胞の中でエネルギー装置として働くミトコンドリアの大きさは約1ミクロンというミクロの世界だ。その細胞が人体には60兆個もあるという。まさに不可思議の世界だ。Something Great様に合掌だ。
 一つ一つの細胞がそれぞれの役割を担って、我々人類の生命が維持されていることをあらためて認識した。ならば、もっと細胞を痛めない食生活、飲酒をすればいいのだが、分かっちゃいるけどやめられない!