「座右のゲーテ」(齊藤孝)

 この本書店に並んだときから気になっていた。エッカーマンの「ゲーテとの対話」を解説したものだった。齊藤孝は今や売れっ子の作家、いい本もたくさん書いているのだが、「座右の・・・」シリーズも、「座右のニーチェ」「座右の諭吉」など出している。ちょっとイージーに出し過ぎているところが気に入らない。
 「ゲーテとの対話」は若いときに読むつもりで買っていたが、読み損なって積ん読のままだった。そんなこんなでこの本は買わなかった。
 たまたま、Book Offで100円で売られていた。100円ならばと読んでみた。齊藤孝は古典を若い人たちに読んでもらいたいと、このような本を書いているのだろう。私もゲーテは「ファースト」など20代の時に読んだ。内容はほとんど憶えていないが、ゲーテという人が凄い人だということは理解していたつもりだ。
 この「ゲーテとの対話」、エッカーマンゲーテの言葉を綴っている。なかなか味わいのあるものが多い。
 「重要なことは、決して使い尽くすことのない資本を作ることだ」
「若いときにエネルギーを費やし、自分の資本を作れ」「現在というものにいっさいを賭ける」「あきない、奥深い世界を見つけろ」等等、自分の若かりし時を思い起こして、どれだけ資本を作れたか、奥深い世界を見つけてきたか、反省するところ大である。
 「青春のあやまちを老年に持ち込むな」「歳をとったらより多くのことをする」、Henry君、あやまちを老年には持ち込んでないつもりだが、“より多くのことをする”のは実行できていないかな。
「経験を積むとなると、先立つものは金だよ」ともゲーテは言っている。年金生活ではそんなに金が自由にならないが、頭がはたらき、体がきくうちはもっと色々なことをやりたいと思う。
 エッカーマンの「ゲーテとの対話」、若いときに読んでおけばよかったかな。押入から引っ張り出して読んでみよう。