談志の落語

 「立川談志、きょうはまるごと10時間」のDVDで談志の落語を堪能した。今まで談志の落語はほとんど見たことがなかった。談志の落語は寄席ではやらない。テレビでもめったに放送しない。どんなものか、一度見てみたいと思っていた。
 他の落語家がやったネタは多少聞いたことはあるが談志の演ずるものは初めてだ。「品川心中」「へっつい幽霊」「やかん」「三方一両損」「粗忽長屋」「芝浜」「居残り左平次」などなど。どれもぐっと引き込まれてしまう。言葉は適当でないが、気韻生動というか、談志からオーラが発せられているような感じだ。
 いままで、寄席には何回か行ったが、話に引き込まれるということはほとんどなかった。落語というものは、別名、落とし噺ともいうくらいで、落ちを楽しむものとばかり思っていた。だから、若いときは途中の話が面白くなく、どういう落ちになるのかだけが気になった。そんなわけで、古典落語はなにか冗長な気がしてあまり好きにはなれなかった。
 談志の書いた、「現代落語論」や談春の「赤めだか」を読んだり、今回のDVDを見て、落語には「滑稽噺」「人情噺」「音曲噺」「芝居噺」「怪談噺」などいろいろあることが分かった。Henryも歳のせいだろうか、「人情噺」の味が分かってきたようだ。
 談志の弟子は二つ目への昇進テストが古典落語50を演じられることの他に、歌や踊り、講談など談志の指示したものを即座に演じなければならないという。その場面も放映されたが大変なテストだ。
 昨今の、民放テレビの騒がしい安芸人のおしゃべりに辟易する。それなりの競争の中からテレビに出てきているのだろうが、もう少しましなトークのある番組を放送してもらいたいものだ。
 談志の弟子達、志の輔志らく談春、談幸なども聞いてみたいと思った。