読み初め「バウッダ」

 バウッダを読み終えた。この本、原始仏教、初期仏教から、阿含教典、原始仏典、大乗仏典、中国仏教、密教、現在に至る日本の仏教について、パーリー語、サンスクリットの原語の意味も説明しながら、「バウッダ」=「仏の教えを信奉する人」の観点から仏教を総覧し、解説している。中村元はこの本は「いわゆる宗教書でもなければ、仏教書でもない」という。
 また、三枝充悳は、釈迦が生まれてから2500年あまり、仏教の発生から、その流れ、仏教思想の変遷を語るとともに、多くの日本の仏教者が、大乗仏教経典のみを仏教経典とし、初期仏教の阿含教典を軽視、もしくは無視していることを嘆きつつ、阿含教典の中に表現されている、ゴータマ・ブッダの直説が、いろいろな形で、大乗仏典の中に取り入れられていることにも言及している。
 ともかくも、500頁弱の本だが、仏教全般とその思想の流れがわかりやすく書かれていたと思う。

 私は、あらたまって阿含教典を読んだことはないが、「発句経(ダンマパダ)」「ブッダの言葉(スッタニパータ)」「ブッダ最後の旅(大パリニッバーナ・スッタンタ)」などを読みかじってきた。
 おぼろげには、阿含教典がどんなものかは多少理解してきたつもりだ。まだ、家には中村元の書いた、「仏弟子の告白」「尼僧の告白」や「涅槃経」などの本もあるが積ん読になっている。命ある間にじっくりと読んでいきたいと思う。
 
 以前、私のブログでアルボムッレ・スマナサーラ玄侑宗久の対談の「仏弟子の世間話」という本や、スマナサーラの講演会の話を書いた。彼の本は数冊読んだ。スリランカ上座部仏教の長老で現在は日本で“テーラヴァーダ”仏教の伝道に努めている。今まで阿含教典(初期仏教教典)が何を言わんとしているのか、もう一つ理解できていなかった。
 彼の本を読み、講演を聴いて阿含教典(テーラヴァーダ:南伝仏教)が少し理解できるようになった。大乗仏教との違いも理解でき面白かった。
 「バウッダ」に戻りますが、ちょっと読みにくいところもありますが、仏教全体と仏教思想の流れを読み解くには素晴らしい本だと思います。ご関心のある方は是非ご一読をお勧めします。